家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は3月24日、第5次食育推進基本計画について、以下の要請を行います。要請文は以下の通りです(文章は今後更新される可能性があります)
農林水産大臣 鈴木憲和 様
2026年3月24日
第5次食育推進基本計画の作成に関する要請
家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ) 代表 村上真平
家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンは、「国連家族農業の10年」(UNDFF)の枠組みに基づいて、日本の家族農林漁業の強化を計るために活動しています。この観点から、第5次食育推進基本計画(第5次計画)の作成に関する意見と提案を取りまとめました。農林水産省におかれましてはよろしくご検討の上、第5次計画ならびに今後の「食育」のあり方の検討に反映されることを要請します。
<要請項目>
1.目的・理念を次のように改めること。現在の世代と将来の世代の誰もが健康で幸せに生きることができるように、安心して食べ続けられることを目指す「食農漁業教育」を「食育」の基本的なスタンスとする。誰もが安心して、地域の条件に合ったおいしくて安全な農林水産物を作り続け、かつそれを食べ続けることができることを「第5次計画」の目的に掲げる。食料・農業・農村基本法第2条に掲げる「国民1人1人の食料安全保障」という理念の下で、自ら作るものと食べるものを自分たちで決める食料主権と国連で採択されている「食への権利」を確保することが「食育」の目指す方向であることを明記する。
2.「食育」で学ぶ具体的な内容として、「食と農と風土との一体性の学び」を重視すること。「食と農と風土との一体性の学び」を表す表現として「身土不二」「医食同源」を強調する。この観点から栄養士、管理栄養士、栄養教諭に対する農業現場の生産学習を必修とする。また学校長・教頭およびほかの教員に対しても、「食農漁業教育」についての認識を高めるように生産学習を推奨する。
3.現行の「食育」は食の機能(栄養、エネルギー、健康情報など)に特化している反面、構造についての視角が不足しているので、構造的視点をより強く意識した構成とすること。すなわち、食にかかわる作り手、食べ手、運び手から構成される食農システムの全体と、ことにジェンダー規範やエッセンシャル・ワーカーの役割、屠畜(命をいただく)など見えにくい領域を明示化する。
4.「食育」の規範的側面を緩め、楽しい「食育」になるように工夫すること。この点で、学校教育における学校給食の位置づけをもっと高くする。給食時間の確保、給食場所、食べる雰囲気(わいわいがやがや)、農家や調理師など給食のフードシステム従事者のお話など、改善できることは多い。
5.学校給食の無償化実施は、すべての子どもたちに食べる権利と健全に育つ基盤を提供する国の責務の発現であるとの認識に立って、自治体における予算の制約を理由に給食の質が低下しないことを担保する措置を講じるとともに、地場産有機無償化を原則とすること。地場産調達比率の向上を目指す上で、国産小麦を使うパンの生産や沿岸魚の積極的利用などさまざまな可能性があることを給食関係者・保護者に対して広く情報発信し、共有を図る。
6.「和食」形成の歴史的経緯を食育の対象に据えるとともに、「和食」にふさわしい農林水産物の生産体制を整えること。この点で、日本における飢饉の歴史や戦中・戦後期の食料危機など食べることさえ限界状況に置かれた経験を学ぶ機会の設置・拡充は必須である。また「お魚マイスター」などの取り組みを参考に、「和食」を広げる身近な担い手の拡充を検討されたい。さらに国は「和食」をUNESCOの無形文化遺産として維持するための政策的責任があることを踏まえ、食料自給率(自給力)を強化することが急務である。形は「和食」でも、日本産の原材料がほとんどないのではその名に値しない。
7.「食の格差」を意識して、きめの細かい対応策を講ずること。「第5次計画」では、農林漁業体験教育の充実を盛り込む方針であるが、この望ましい方向が「体験格差」の拡大をもたらさないように留意されたい。この点で、できるだけ校内や近隣地域社会と連携して近場に実習農園を設けることが望ましい。また教師の力量向上が望まれるが、同時に過剰負担を避けるように地域の農家などからの協力を得られるような制度が必要である。「教育ファーム」の設置は第一歩なので、そこに「魂を込める」ために英知を集める仕組みが重要である。
8.第4次食育推進計画に盛り込まれた「フードテックの理解推進」が「第5次計画」にも継承されるのであれば、その是非について再検討すること。フードテックの内容は非常に広範なのにどのようなフードテックかの説明がないのは問題である。バイオテクノロジーなど評価が定まっていないものを食育に組み込むことは大いに問題である。
以上