FFPJは5月31 日、第8回総会の前に、「気候危機 農林漁業の現場で起きていること」と題して、シンポジウムを開催しました。以下はその概要になります。
【基調講演】林陽生さん(NPO法人 クライメイト・ウォッチ・スクエア理事長)
【現場からの報告】
稲作:伊藤亮司さん(新潟大学農学部助教)
野菜&果樹:中山善富さん(紀ノ川農業協同組合)
畜産:相原 海さん(こぶた畑代表)
林業:上垣喜寛さん(自伐型林業推進協会事務局長)
漁業:高松幸彦さん(JCFU沿岸漁民連絡協議会共同代表)
まとめ:池上甲一さん(FFPJ常務理事、近畿大学名誉教授)
司会:宇田篤弘さん(司会、FFPJ常務理事、紀ノ川農業協同組合組合長)
◆宇田篤弘さん(司会)
それでは時間になりましたので、FFPJのシンポジウムを始めていきたいと思います。本日は、お忙しいなかお集りいただきまして、本当にありがとうございます。今日、私、司会をさせていただきます。FFPJの常務理事をさせていただいております。また紀ノ川農協の組合長をしています。よろしくお願いします。それで今日も朝から草刈りをやってきて来たんですけれども、和歌山の気温が今日20℃ちょっとですので、風も吹いていて心地よい、草刈りにはとっておきの日なんですけれども、本当に近年は気温が上昇してですね、畑での草刈りもですね、ちょっと命の危険を感じるぐらいの暑さになるときもあるんですが、日本全体の食料がですね、これからひじょうに厳しくなってきていますけれども、それに加えて、気候危機というのがですね、農林水産業に色んな影響を与えています。今日はこの農林水産業の現場で起きているっていうことをですね、報告をしていこうということになりました。
それでは、最初に「気候危機 農林水産業の現場で起きていること」、基調講演ということで、林陽生さんの方からご報告をいただきます。林先生はNPO法人クライメイト・ウォッチ・スクエアの理事長をされています。また、「ほんとうのグローバリゼーションってなに?」のところで、環境変動に農業はどう立ち向かうか、の執筆者でもあります。神奈川県出身、理学博士で筑波大学地球科学系の助手 、農林水産省農業環境技術研究所の部長、筑波大学生命環境科学研究科教授を歴任し、退職後に2013年から先ほどのNPO法人クライメイト・ウォッチ・スクエア理事長をされています。専門は地球温暖化の影響評価、農業気候・資源評価などであります。地球温暖化に関する啓発や提言に注力されている先生です。それではどうぞ、よろしくお願いします。
◆林陽生さん
*はじめに
まず、前振りといたしまして、新聞の切り抜きなんですけれども、3月の朝日新聞ですね。「『100年に一回の猛暑』が毎年にも」というふうな見出しになっておりまして、気候変動の影響ですね。世界でのシナリオを日本に当てはめて、現在、こういうことが指摘されている 、どうなっているんだろうなということで、4℃のシナリオと2℃のシナリオってあるんですね。4℃のシナリオっていうのは、現時点でどうも4℃ぐらいになるんじゃないかと言われておる一方、2℃シナリオというのもありまして、ご存じかもしれませんが、これはパリ協定で2℃シナリオを目指して、やっぱり我々は対応をしていって、緩和なり、それに適応していかなきゃいけないと議論されています。気温上昇のレベルの違いがあります。で、何が書いてあるか簡単に言いますと、左の上の方に抽出しましたけど、21世紀の気温は20世紀初めより5.1℃、これ4℃シナリオですね。2℃シナリオでは2℃上昇するよということです。で、熱帯夜、これは現在の25日から56日、2℃シナリオでは半分ぐらい。東京について見ると、21世紀末に気温は6.2℃、ずいぶん上がります。それから熱帯夜は90日、なんともう、大変なもんですよね。何か月も熱帯夜が続くということが指摘されています。で、それに加えてですね、海水中の酸素濃度も低下したり、酸性化も進むという、この影響が考えられるわけですね。次のページ、ありがとうございます。
*世界の年平均気温偏差
IPCCが発表している世界の年平均気温の経年変化です。横軸が年になっていますね。縦方向は気温の偏差、偏差という意味はですね、縦軸のところに書いてありますように、1991年から2020年までの平均値をゼロにして描いた変化の図なんですが、赤が全期間の直線回帰ですね、ブルーは移動平均が書いてあると思うんですが、黒い丸が毎年モデルです。これが地球温暖化なんですね。地球温暖化というふうに定義しています。すなわち単なる気温の上昇とは区別して地球温暖化なんですね。だから何が言いたいのかと言いますと、地球温暖化に絡めて何か議論をするときには、ただの気温の上昇ではないということを認識する必要があります。
この図は、左側にトレンド0.7って書いてありますが、これは100年、この赤い直線、勾配ですね、これを求めると、100年で0.77℃、上昇してきたよと、こういうことなんですね。これはごくわずかのように思いますよね。0.77℃ですから、1℃にも満たないような、それも100年でですよ。これを地球温暖化って言うんですね。どうでしょうか。毎日あるいは毎月でもいいです。1日平均の気温などを見ていても、ひじょうに変動していますよね。この2、3日前と今日の気温というのはまた、ずいぶん違っています。これって何℃ぐらいか、10数℃ですよね、場所によってはそういった大きな変化があるなかで振り返ってみると、1日平均値あるいは地球の1年の平均値ですね、1年間の地球全体の平均値でみると、こうなっているということ。これが大きな問題、これがひじょうに明確に現れるのが地球温暖化です。しかしながら農業は日々の、それから地球表面近くの環境で営むわけですから、改めて考えていただかなきゃいけない点があります。次、お願いいたします。
*地球温暖化による気温上昇
最初に認識しておいていただければ、一般的な地球温暖化の議論をするときに、役立つんじゃないかと思って、なかなかこれ、理解していただけている場面が多くはない。何かと言うとですね、地球温暖化による気温上昇というのは、人間活動が大気中に排出する、温室効果ガスの濃度の上昇が原因による気温の上昇なんです、つまり温室効果。
一方、気象観測で気温の変化。先ほどお見せしましたような変動も含めて、観測値があるわけですが、それ自体が単純に地球温暖化ではないということです。何が言いたいかというと、そこにはですね、地球温暖化を定義するためには、都市化で生じた成分、あるいは土地利用変化が原因で、気温が変化する成分、まあ上昇する成分ですね、これを引いてくださいよ、ということです。これを差し引いて考えて初めて地球温暖化について議論をできると。
さあこれ、ちょっと分かりづらいですけど、何を言っているんだという話ですね。言いたいのは気象観測値を並べたものが単に地球温暖化じゃないよと。なぜかと言うと、人間活動による温室効果ガス濃度の上昇が原因によるものというふうに定義されているからということです。次、お願いします。
*話題の流れ
次に話をするのを2つのパートに分けようかと思います。それは、まずは地球温暖化が水稲収量および果樹生産に及ぼす影響ということで、グレーのところはですね、前段階のところでずいぶん色々なことをやって、ここにずいぶん、時間を費やしていて、ここも面白いところだと思うんですが、残念ながらお時間の関係で省いて、結局、水稲の潜在収量と最適移植日の変化について、それから果樹生産適地の変化について、なぜここに果樹を入れたかって言うと、我々が作った温暖化シナリオを使って、当時の果樹研究所の人たちがいっしょに研究していた経緯があります。それからその2番目にこれも私の専門ではないので、大変恐縮ですけれども、畜産、森林、黒潮の問題、海洋酸性化について、これはキーワードです。こういったキーワードを含む話をします。次、お願いいたします。
*水田の分布と作柄表示地帯
まず水田についてなんですが、作柄表示地帯を対象に解析をしました。これは全国の作柄表示地帯、黒い実線で囲ってあるところで、広い県では3つぐらいのところもあるわけで、小さい県では1つかもしれません。濃淡があるのは、濃いところで水田の密度が高いところ。これらを対象に議論しましたということで、次をお願いします。
結果をお示しすることに突然なりますが、まずこの図、左側が最適移植期、つまり田植えの時期ですね。この時期、いつ頃だと最適か。最適っていう意味は温暖化が進んだ状態においても高い収量を維持することができる、それを最適と考えて、移植期はいつか。田植えですね、これがどう変わるかというのを上段の方が20世紀末、下の段が21世紀末、100年後ぐらい、ということで色分けしました。
実際に最適なんですけれども、それが今世紀末には下の方ですね、その下、赤っぽい関東平野と、それから西南暖地の沿岸地帯、九州ではかなりのエリアが8月にもう近づいてくるということになります。それが最適なんです。最適なんだけれども、収量はどうなるかと言うと、右の下のところの21世紀末の潜在収量の分布を見ますと、20世紀では収量が多かったものが、関東地方から西南暖地にかけて、九州中国の辺りの一部では、少しブルーになりますが、紫色になっている部分も含めてひじょうに収量が少ない。なお、ここにもスケールを付けましたけれども、これが潜在収量と定義いたしましたんで、実際の10アール当たりの何キロという数字とは、2割ぐらい多めに出ているかもしれませんけど、それを最も理想的に栽培したときの収量という意味で潜在という言葉を使っています。これが結果なんですね。じゃあ、なぜそうなるんだろうか、次、お願いできますかね。
*農事歴で「田植え」が遅くなる
実際には、害虫・益虫の個体数の変化とか、雑草の繁茂や農薬防除効果の変化、品種改良の効果など、多様な要素が関係しますが、これらを考慮した総合的な予測手法はまだ確立されていない状態です。下に緩和策と書いたのは、農業というのは別の視点でですね、稲作というのはメタンの発生源にもなるわけで、地球温暖化を考える場合には、緩和策としては、例えば今、代表的に間断灌水の有効性が言われていますけれども、効果的だと言われていますが、こういったものを考えなければいけないという水稲栽培の側面がありますね、ということでメモしてあります。こういったわけで、先ほど、1つ前の図でお示ししたことの一部を抽出すると、こういったことがあるだろうと。次、お願いします。
*イネの縞葉枯病
イネの縞葉枯病。これは筑波の農業環境技術研究所のときに、昆虫の方といっしょにやった結果ですけれども、田植えの直後、従来ならば6月1日頃にヒメトビウンカの成虫が飛来して、感染するということになりますが、その個体数も変化するというわけですね。多くなるということです。20世紀末と今世紀の中頃ちょっと過ぎのときの世代交代数を色別に示しましたように、当然のことながらこういった地域で世帯数が1つ以上ですね、増えるということになりますと、被害が多くなるということが予想される。その地帯もこういった特徴があるということを示してあります。次、お願いします。
*北海道・東北地方で灌漑用水が枯渇する?
これは新聞記事、2009年ですね、読売新聞。北海道・東北地方で、灌漑用水が枯渇する危険性と書いてあります。皆さまも注目された方があるかもしれませんが。何が書いてあるか、簡単に言いますと、地球温暖化の影響で春の雪解けが早く始まり、道内の積雪寒冷地にある農業用ダムへの融雪水流入が約20年後には今よりも半月程度早まる。こういうことが予測されるということですね。そうすると、こ温暖化、早まる雪解け」で、ダムが3月に満杯になってしまって無駄な放水が増える。そうすると、稲作をするために必要な灌漑水が20年後には危機になるよ、ということですね。先ほどの、1つ前のところで、最適移植日が遅れるということも合わせて考えるとですね、これはどうしたものだろうかなと、日本は90%以上の灌漑をしておりますけれども、これをですね、ぜひ今後も維持しなければいけないということになるかと思っています。次、お願いします。
*温暖化でりんごの栽培適地が北へ移動
*ウンシュウミカン栽培に適した年平均気温の地帯が北へ移動
これは温州ミカンについて。これも杉浦さんらとやったものですけれども、これも年の平均気温で15℃から18℃の気体が北の方へ移動しています。今世紀中頃には栽培適地が関東地方全体と、それから西南暖地の中でもかなり限られる、すなわち九州ではもう高温になって、もうほとんど栽培ができないという状況、もうここの過渡期にありますね。と言いますのも、関東地方に九州のチョウチョですね、が飛んできたりしているわけで、これはもうただ飛んでくるという能力がある、ということだけじゃなくて、そこで世代交代する環境が成り立っているということですね。ミカンの木もこの辺のミカン園だけじゃなくて、庭先とかでも十分に育っているという状況になっているということがその背景にあるということです。次へお願いします。
*温暖化で畜産業がどう変わる?
次ですね、温暖化で畜産業がどう変わるという視点で見ると、これもご存じの方も多いかと思うんですが、養鶏では鶏舎内の気温の上昇、これで卵の数が減ったり、重さが減ると。それから養豚でも同じようなことが起こって、やはり畜舎内の気温上昇ですね、これで体重が減ったり、肉の質も落ちると、対策として、畜舎内の気温を管理する。これが適応策として、だいぶ前から指摘されています。
*温暖化で林業(森林資源)がどう変わる?
マツ枯れなんかも重要な問題で、温暖化気候では発生しやすくなるだろうと。そのマツノザイセンチュウ、マツノマダラカミキリ。気温が2℃上昇すると、場所によってはアカマツ林業やマツタケ産業に影響が出ると。
また人工林については、50から100年かかる、収穫までにですね、十分将来の気象状況を考慮して、育林・樹種を選択する必要がある。それから、森林というのはCO2の給源・貯留の機能があるわけなんですけれども、耐久性の高い家具とか建築資材を積極的に使っていきましょうという緩和策、これも実際に木材を使って高層の建物を作ることが可能になっていますね。一方、CO2の給源でもあるわけで、これが衰退しますと、収支として結局、排出側になってしまうということです。国際的な条約を遵守するという意味では、パリ協定ですけど、我々もその結果を数値的に結果を示さなければいけない中で、これも一つ、大きな問題を含んでおります。次、お願いいたします。
*海水温の上昇で漁業がどう変わる?
海水温の上昇で漁業はどう変わるかなんですが、ブリやサワラの漁場が北上、あとは磯焼けの問題ですね、イセエビ、アワビ、こういったものに対する悪影響。それからオホーツク海の水温が上昇すれば、サケの回遊等が変わる。また、今度は鉛直方向の深層水との混合については弱まるので、海面付近の水温が高くなり、栄養分が循環しづらくなるということですね、その影響。このまま温暖化が続くと、今世紀末には、世界の漁獲量が最大約24%減少するとも言われています。で、生態的な視点からなんですが、貝類とかウニとかサンゴ、こういうものが、海中水に含まれるカルシウムイオン、それから炭酸イオンを使って、自分の骨格を作るわけですが、もし海洋酸性化が今後も進むと先にこれが炭酸イオンと結合するために、そういった生物が自分の殻に取り込むべきものがもう先になくなっちゃうということが懸念されているということです。
なお、これはつい5月の新聞記事ですけれども、海苔ですね。スサビノリ、もうなかなか生育って言うんですか、育ちにくくなって被害が及んでいるので、クロシオアマノリというのが発見されたという記事です。これは海水温が高いところでも、比較的よく育つということで、こういった技術的開発も今後、進むだろうということです。次、お願いします。
*「黒潮大蛇行」終息の見通し
黒潮蛇行の問題はニュースになっておりますが、これは5月の朝日新聞。そこに書いてあるように、この蛇行がですね、点々のものが実線に変わったんじゃないか、ということですね。この黒潮大蛇行は、7年9か月続いていたのが、この4月に終息したのではないかということです。そうしますと、大蛇行のなかに取り込まれた冷水塊が離されてなくなるわけですから、紀伊半島沖のところでは水温が高くなる。これが漁場が近くなるという意味で、好転するんじゃないかという、カツオ漁がですね。一方ですね、逆にそうなってくると、海面の温度が高いわけですから今度は熱暑の問題ですね、そういった問題が起こってくるということが指摘されています。次、お願いいたします。
*補足:高温の影響
もう2、3分あるかもしれませんので、その時間内で少し付け足します。先ほど一番最初にお示しした分布図。これはどうしてあんなふうな予測ができるのかですけども、地球温暖化が進み、今世紀の末にかけて2℃とか3℃とか気温が上がるような場合、そういった場合に水稲栽培は出穂後、40日間の平均気温が高くなることを避ける必要がある。収量性を高めるためにということですね。
現在、どういうふうになっているか。左側に地域別にシンボルを示しましたが、先ほどの作柄表示地帯がいくつもありますが、日射量当たりの収量の関係を描いてみますと、だいたい22℃のところにピークがあって、それよりも気温が上がるようだと温暖化ですね。そうしますと収量が、日本全国を見ると、減ってくるというのが1つです。すなわち、出穂後、40日間の平均気温が22℃より高いような状況を避けて栽培しないと収量が落ちるということですね。次、お願いします。
*補足:その他の気温上昇の影響
もう1つだけ、追加しておきます。注目しなければいけない現象といたしましては、この図の方を見ると、上の方が移植時期の気温なんですけど、横軸は左が北海道とか緯度が高いところ。右の方にいくにしたがって、低い地帯、これ地帯別に並べています。上の図は、これは移植時の気温、つまり田植えをしたとき、気温がどれくらいのときやっているか、植えているかですね。下ほど低いところ、もちろん品種にもよりますね。栽培方法全体だけじゃなくて、品種にもよるんだけど、現状としてはこういった形になっているということですね。
下の図はこれは、積算温度というのは、移植から出穂までの積算温度です。で、これもですね、品種にも依存、もちろんしますけれども、北ほど短い期間で、生育する、すなわち移植してから出穂まで達する。短い期間で達するという品種を使って現在、日本では水稲栽培をしているわけですが、じゃあ、温暖化になったら、これがどうなるかということですね。そうすると、移植日については前倒しが可能な地域が出てきますね、気温が上がるんだから。もっと寒いときから早く移植しようと思えばできるということです。
ところが、日本全国どこでもじゃなくて、例えば、南の方からを考えますと、先ほど1つ前の図でお示ししましたように、気温が高くなると、収量が減ってしまうんですね。横軸に描いてあるように、出穂後40日間ぐらい平均気温です。これが高くなると、収量が減ってしまうんです。だからこれを避けるための栽培をしなきゃいけない。とするとですね、前倒しするとちょうどこの時期が温暖化の気温の高い時期になってしまうんです。これを避けなきゃいけないということになります。そういったことが、要素が働くので、先ほど、一番最初にお見せした分布図になるとことになります。すみません、ちょっと時間が超過してしまいました。ここで私の話は終了することにいたします。ありがとうございました。
◆宇田篤弘さん
林さん、どうもありがとうございました。短い時間で全体的なお話をいただきました。本当にありがとうございました。今日は時間の都合でですね、質疑応答の時間を取れなくなっているんですけれども、このあと、現場の報告をしていただきますけれど、もし意見とか感想などがありましたら、チャットの方へ書いていただければ、お答えはできないとは思うんですが、よろしくお願いします。
それでは現場からの報告ということで、お1人目ですけども、稲作のところです。伊藤亮司先生ですね、新潟大学農学部の助教で、米の生産流通と、そういったところにご精通されていて、論文、講演とか、色んなことを多数ご発表されている先生です。論文には「新潟県におけるコメ生産調整の緩みとその理論」とか、「食用米作付拡大県における生産・販売戦略:新潟」など、農業と経済などにも掲載されています。それでは伊藤先生、よろしくお願いします。
◆伊藤亮司さん
はい、よろしくお願いします。さっそく画面共有してみます。新潟の状況を踏まえて、話をさせていただきます。現在、私、新潟の下越地方ですね、新発田市というところに、昨夜から来ているんですけれども、米倉という集落で、100ヘクタールの大規模な生産組合と、隣に家族経営で20ヘクタール、そっちも大規模な担い手が育っている、そんなところで、昨夜は酒を飲みながら色々と話を聞いておりました。で、今年の新潟は、春先、ちょっと寒かった。寒かったプラス、急に暑くなる日があったり、雨が多かったりというんで、出足、ちょっと不安な状況がありました、という感じです。
今、お示しているやつは去年のデータですけど、去年についても6月になんかいきなり低温にさらされたりとか、毎年のように不安定をかかえて収量が上らないという、そんな状況が続いているわけです。で、今年も若干、不安という感じですけれども、考えてみたら、昨日も飲みながらの話になりましたけど、1つは、昔もそうやって毎年、ハラハラドキドキ色んな気候が、当然、その年その年で色んなことがあったんでしょうけど、それをカバーするようなことが出来ていたのが、今度は人間側の方で、適切に気候に合わせた農作業とか、そういうことがどんどん出来なくなってきている。
もう1つは、鳥獣害だったり虫だったりですね、新発田市というところは、市町村合併でちょっとおっきくなりましたけど、昔に比べると、市道、県道、大きな道路沿いの草刈りなんかが、やっぱりあまりされなくなってきていて、そういうところがカメムシの発生源になったりとか、人間側の体制の弱まりは、鳥獣害のところには深刻に出ていて、雪があったころと比べて、カメムシも冬に生き残る、サルもイノシシも、西日本から山越えてやって来るなかで、人間側の体制がそこに追いつかないなかで、気候も不安定になるという、組み合わせのなかでの収量の減だけれど、もう1つは大規模化が進むと、いわゆる適期作業ということがなかなか難しくなって、20ヘクタールの家族経営の農業者のところでいくと、今年は作業が遅れて、夜の10時ぐらいまでライトを点けて代掻きをするというような、そんな状況にもかかわらず、昨日やったかな、やっと5月末までかけて、昔だったら1週間ぐらい前に終われてたのが、あまりに規模が大きくなったがために、作業が間に合わない。で、適期じゃない時期に作業をせざるを得ないということが、合わせて不安定を作っていっているということが、すごくよく分かったわけです。
右上のところに新発田市の米倉村という100ヘクタールですけど、去年の状況も農水省の作況調査、あるいは収穫量調査ではそんなに悪くないはず、ちょっと悪いっていうんですかね、下越地方は97という作況指数で発表されましたけど、現場感覚から言ったら、一昨年、かなり1等米がほとんどないという状況で、高温にさらされて、苦しんだんですけど、それよりもさらに悪い。60キロぐらい平年作よりも下だったと。倒伏と、秋口、気象データを見ていただいたら、雨が多かったというのも分かるんですけれども、雨が降って倒伏をして、その分また穂発芽だとか収量が減り、さらには農薬も肥料も状況を見ながら撒くというゆとりがないがために、なかなか機器も悪くて、稗だらけの雑草が広がる。そういうなかに、また渇水だったり高温だったり、というので田んぼ自体も良くないという、そんなことが積み重なって、収穫量の減少につながった。それがなかなか数字としては表れてないという、ちょっとギャップが新潟県内では、去年は多かったように思います。
大規模化をし過ぎた色んな矛盾というのは、佐渡でも同じ話を聞きますし、新潟市内では結局、だから規模が大きくなってくると、いわゆる一発剤で、肥料だったり農薬だったり、生育状況に合わせて、この田んぼを撒いとかんといかん。じゃあ何日ぐらい撒きましょうかという、そういう丁寧な肥培管理ではなくて、とにかく人間の都合で、今日はこの田んぼ、明日はこの田んぼ。100ヘクタールもあると、その人員体制のなかでローテーションを決めて、それ以上のことはやれないという割り切りでもあるんですけど、一発剤を撒くと、実際には適期にちゃんと溶け出さないとか、でもしょうがないから、作業員の都合、タイミングで世話をしていくということが、また予想と違う状況で高温が広がったりすると、成分が溶け出すのが想定よりも違う状況になるというようなことがですね、県内とこの地域でも一般化しつつあって、上越辺りでも実際に101と言ったら、まあ豊作という概念ですけど、ほとんどそんな実感は足元の農家にはないという、そんなことをよく聞くわけです。
100年前、横井時敬が有名な言葉で「稲のことは稲に聞け」と言っていましたけれども、イネの都合なんかにちゃんと当てはまるような作業ができない、ある種、それをしないことが作業効率のアップと言えないわけではないと思うんですけれども、ついでに出しておいたのは、農水省の米生産費調査ですね、いわゆる水田の管理に、一番下ですけど、使う時間というのは、小規模農家は丁寧な作業がある種、不効率かもしれないけどもできているけれども、大規模農家になればなるほど、そのための時間が取れないということなんですよね。肥料も、あるいは農薬散布も極限まで時間を減らして、つまりは一発剤にたよってという、そういうことがどこかで数字にも反映されているような気がしますけども、そういう状況の結果、気候変動とか温暖化とともに、それにまた対応する人間側の体制が行政とか農協で個別経営の段階でもどんどん減ってくる悪循環のなかで今があるというふうに見ていますということです。
単収で言って、農水省の調査でさえと言うか、大規模農家のかなり小規模な農家で平均単収が低いのは従来からだったんですけども、15から20ヘクタールというところをピークにむしろそこから大規模化していくと、平均収量、単収も落ちていくという、そういう傾向が全国的に共通ベースになりつつあるんじゃないかなという意味では、気候変動プラス、その気候変動に対応するだけの丁寧な作業をするゆとりのない経営のシステムがまかり通り始めているというふうにみています、ということです。はい、新潟の状況、以上でございます。
◆宇田篤弘さん
伊藤先生、どうもありがとうございました。それでは続きまして、野菜・果樹ですけれども、紀ノ川農協の中山が報告させていただきます。紀ノ川農協は生協産直をやっていますので、3カ月ほど前に企画を決めないといけないということで、この気候といつごろから収穫できるかということがひじょうに大事な点になりまして、長年、果樹を中心にですね、取り組んできた中山から報告をさせていただきます。
◆中山善富さん
はい、中山です。よろしくお願いいたします。いろいろ去年なんか、特に気温が高くなって、大変色んな影響が現れてきております。
この表がですね、2014年から2024年までの8月の最高気温、特に最高気温に着目して作った表なんですけども、黄色になっているのが35℃以上で、赤色になっているのが37℃以上。それで茶色になっているのが36℃以上というふうに分けていまして、2014年でしたらまったく色がついていないんですけど、右の24年になるほど、色がついてきて、去年なんかはほとんど赤色が多くなっているというのが現状でして、植物というのは35℃以上になると、光合成能力が非常に低下するということになっておりますんで、ここだとやっぱり肥大とか、色んなところで影響が出てきます。次、お願いします。
次が、これが9月の最高気温の変化なんですけども、これも同じように30℃から35℃のところが黄色になってまして、茶色が35℃以上というふうになっているんですけども、これも24年に近づくほど、どんどん色がついてきているというようなことで、これがまた、色んなところで影響がしてきております。それで次、お願いします。
次が24年の旬別の最高気温と平年値との比較グラフなんですけども、去年は1月から2月ぐらいまではひじょうに気温が高かったと。それから4月のところでも高く、8月以降は11月頃までずっと高い気温で推移したということで、これで色んなところでまた、影響が現れてきております。次、お願いします。
次は、20年から24年までのカメムシの発生状況ということで、これは和歌山の粉河のところでの測定なんですけども、この青色の線のところが24年のカメムシの発生状況なんですけども、もう平年に比べたらダントツで1000倍ぐらいでしたっけ、極端な増加になっておりまして、これも去年は大きな影響を与えてきました。次、お願いします。
で、温暖化でどういうふうな影響があるかと言うと、集中豪雨とか降雹被害、夏から秋にかけての異常高温って言うか、それがあります。で、23年には集中豪雨がありまして、山の畑が崩壊、土壌が流出したりですね、畑の道が流されたりということで、局所的だったんですけども、被害が集中しました。それから24年と25年、去年と今年ですけれども、ビー玉大の雹が大量に降りまして、田辺地方では梅の被害がもう、えげつないほど出まして、47億円というふうには言われているんですけども、大変な被害が出ました。23年には九度山町という富有柿の産地なんですけども、ここでも雹が降りまして、かなり被害が出ております。
それからですね、極端なことで、8月から9月の猛暑日が先ほど言ったように、ひじょうに多くなってきて、その影響で日焼け果とかが、大量に出てしまったというのがあります。それから台風の強度がひじょうに大きくなっているというのも、これも温暖化の影響だと思うんですけども、2018年には和歌山の方に直撃した台風で21号が来まして、果樹がかなり風で倒されたり、葉っぱが飛んでしまったりということで、色んな品目で大きな被害を被りました。それからあと品目別に言いますと、紀ノ川農協は年間を通じて果樹とか野菜とかずっと出荷しているんですけども、そのなかで果樹のところでは大きく二つに分けることができます。夏果実と秋果実で出る影響というのがひじょうに違った形で出てきます。その次をお願いします。
グループ1とグループ2に分けましたけども、グループ1と2のところではカメムシの被害は共通して、カメムシの被害が出ていまして、これは12月から2月の気温がひじょうに高かったために成虫が多数越冬して、4月以降で大発生につながったということです。これが色んな果実に通じてですね、落下してしまって大幅に収量が減ってしまったということになっております。それから夏果実なんですけども、特にウメなんですけども、1月から2月の気温がひじょうに高過ぎて、不完全花が多数発生して着果数が大幅に減って生産量が激減したということがあります。それからあとモモについては、7月下旬から8月にかけて異常な高温になりまして褐変症とかみつ症が多く発生しました。
秋果実のグループ2なんですけども、これも先ほどとまったく違った形で影響が出ているんですけども、ピオーネでしたら8月の気温がひじょうに高かったために、着色が進まずに、普通でしたら8月の下旬とか9月の上旬ぐらいまでに着色が進むんですけども、10月になっても色がつかないというふうなことになりまして出荷ができないというふうな事例がありました。あと、たねなし柿なんですけども、8月の高温で、日焼け果がひじょうに多くて、9月の上旬から出荷する柿については、着色が進まずに、収穫がなかなかできなく、脱渋時に高温のために軟化が発生して、歩留まりが大きく落ちたということがありました。
それから刀根早生とか、平たねなし柿なんですけども、9月から10月がずっと高温が続いたために、着色が遅れて、先ほど組合長が言われたように、共同購入というのは、3カ月前から出荷時期を決めていくんですけども、これが例年になく遅れてしまって、出荷時期が遅れてしまって、販売の予定時期と合わなかったというところで、ひじょうに苦労しました。それで今年24年は生産量が大幅に減ってしまったということがもう1つありまして、カメムシの影響もあったんですけども、やはり去年の9月上旬の花芽分化時期にひじょうな高温であったということが、それも一因と考えられると思います。
次にあと柑橘類ですけども、これは着色遅れ、先ほど言った柿もそうですけども、着色遅れで収穫がなかなかできなくって、これも高温のためにということになっておりまして、生産量がそれから少なくなってしまって、玉太りもあまり良くなかったということになっておりまして、高温の影響ということもあるかと思います。それから11月から12月にかけて中生ミカンを出荷するときに、やはり浮皮が結構多く、これも高温の影響だと思われます。それからあと、23年ですね、不知火がひじょうに、コハン症が多発して歩留まりがひじょうに悪くなった年があったんですけど、この年は9月から10月にひじょうに高温と乾燥の影響で、これもコハン症が多発したんじゃないかということで、やはりここらも水の管理とかがひじょうに重要になってくるかと思います。
それで次、この影響を抑えるために、どういうふうにしたらいいんだろうか、というところで、潅水の管理をちゃんとタイミング良く、水を供給するとか、あと、雨が大量に降ったときに、水はけを良くしておくとか、それから成長段階に応じて、適量な施肥をして、果実の品質を向上させる、それから気象データを蓄積して、生産計画や収穫時期の予測を精密化していく、ということも一つあります。
あとは、耐暑性の高い品種の導入をしていくと。なかなか、でも柑橘類の耐暑性の高い品種というのが、研究はされているんですけど、なかなかいいものがなくて、今後の品種の開発とかに期待したいと思います。
野菜への影響ですけど、トマトとかはやはり高温による日焼けの変形とか、変色とか、硬化とか、劣化とか、そういうことがあります。キュウリは生育不良で、曲がったり、尻細りになったりということがあります。今年はタケノコがひじょうに少なかったということがあります。それは去年の夏の8月から9月の高温と乾燥の影響でこういうふうになったんじゃないかということで、これも竹林の灌水とか、そういったこともしないといけないんではないかいうふうに思われます。それからトウモロコシについては、生育期間が短縮したり、病害虫の被害が多くなったりということがありました。
秋冬野菜はひじょうに苦労したんですけども、ブロッコリーとか白菜とかキャベツですけど、播種をやっても発芽しないということが8月下旬から9月にあります。9月に高温であったためそういうふうになったかと思います。
そういったことで、対策は色々やるわけなんですけども、それ以上に予測できないような気温に見舞われたりするんで、できることは色々やっていきたいなというふうには思っております。以上、そんなところです。
◆宇田篤弘さん
はい、どうもありがとうございました。そしたら続きまして酪農畜産ですけども、神奈川県の南足柄市の、こぶた畑代表の相原海さん、よろしくお願いします。
◆相原海さん
よろしくお願いします。今、皆さん、ちょっと業界を俯瞰するような話、それぞれ聞かせていただいたんですけれども、私はその業界のなかでも、ひじょうに小さい規模の農業をやってますんで、あまり私の口から業界を代表するようなことっていうのは言いにくいところがあるんです。なんで、あくまで、しかも私がやっているのは、畜産のなかでも養豚というものですので、酪農農家、肉牛の方、卵の方のところまですべて見えているわけではないんですけれども、あくまでその視点からのお話ということで聞いていただければと思います。
畜産と気候危機という話をしようとすると、どうしても気候危機によって被害を受ける側面と、気候危機を誘発している農業のなかでも一番寄与度が高いというのが畜産なんじゃないかと言われるところがあるんで、その2つをやっぱり話していかなきゃいけないのかなというところに今。で、なかにはもう家畜が呼吸するのも二酸化炭素を出しているんじゃないかみたいな話をされる方もいらっしゃるんですが、もちろん家畜の呼吸で出る二酸化炭素の量というのは大きいことは大きいんですけれども、それは一応、家畜の餌のトウモロコシがどこかで固定してきた二酸化炭素をもう一度、大気に出しているだけというので、それ自体はニュートラルなんですね。ただ可哀そうなことに反芻動物、特に牛さんたちは、胃のなかでどうしてもメタンを生成してしまう。で、メタンが二酸化炭素より温室効果の係数がすごく高いんで、ちょっとどうにかならないのかというようなお話をされちゃう。それは原理的にそういう生き物だからしょうがないじゃんというところがあって、これはちょっと業界としてもちょっと可哀そうだなと思っていて。
ただ最近、そのメタンの生成については、飼料添加物で3割、これを入れると3割抑制できるよとか、海藻の粉末みたいのを添加すると、場合によっては7割ぐらい抑制できるよみたいな技術が出てきていて、それで、まあ、1つ希望が見えてきているかなという感じがあります。あとは、これが畜産の問題なのかどうかということもあるんですけども、堆肥を畑に施用すると、堆肥を作ったり施用したりする段階で、窒素酸化物、特に一酸化二窒素とかいうのが温室効果係数が高いというので、取り上げられています。こういうものもどうしていくのかというのが、堆肥舎の構造だったり、攪拌の頻度だったり、そういうもので一酸化二窒素の発生を抑制できるんじゃないかみたいな議論が一方でされています。
ただ畜産の根本的な方の問題は、規模と量の問題というのがありまして、1960年代から見ると、畜産というのは、食肉生産が世界全体で5倍になっちゃってるところなんですね。規模も大きくなってきていると。特に日本の畜産という面で見ると、大規模化した畜産を支えるために、アメリカ大陸からトウモロコシと大豆を輸入して、それを餌にして飼っているっていう、そういう産業になってきてしまっているところがあります。
もともと畜産というのは、牛だったら草を食べて乳を出す。豚だったら8千年間のあいだ、いわゆるゴミというもの、農業生産の副産物だったり、人間の食べ残しだったり、場合によっては人糞まで含めて食わせて肉を取るという産業だったんですけれども、それがこの100年ぐらいのあいだに、豚、牛、鶏のためにわざわざ穀物を作って食べさせる、という産業に変わってきてしまっている。そこのところ基本的に、春先から秋にかけて、出てくる農産物のクズを食べさせて、秋に屠畜して、そのお肉で冬中乗り切ろうねっていうような、春から秋にかけての農業で蓄えたエネルギーを1年間通して消費するためのあいだに、隙間産業としてはまっていたようなのが畜産だったとところがあるんですけども、そこがわざわざ餌を作って、それを消費させて、大量に消費する産業になってしまっているというところが、ひじょうに今、世界中からちょっと厳しい目を注がれるような、肩身の狭い産業になってきてしまっているのかなというところがあって、私なんかはそういう大規模化して資源を収奪するような産業になってしまった畜産をもう一度、循環のなかに位置づけ直してあげようよね、みたいなところをコンセプトに仕事としてやっております。
写真なんか、共有できるものがあったらしていただけたらと思うんですが、お送りしていたもので。そういう循環のなかに位置づけ直すというので、ウチなんかでやっているのは、餌を地域のパンクズとか麺クズなんて集めてきて、発酵させて使う。で、広めの豚舎に剪定クズを敷いて、その剪定クズを堆肥化する、イメージとしては、堆肥舎の上で豚を薄く飼う、みたいな感じのイメージで飼っております。で、母豚と授乳中の子豚だけは放牧をしてあげてっていうのは、お産というのはどうしても生き物の生理現象を使うものなので、本来の生き方に近い形をしてあげた方が、こちらの管理する手間が減らせるというところがある。それでそんなことをやっている。それでできたお肉を地域のなかに配ってく、というようなのが私のしょぼい商売でやってます。
だから基本的には餌を集める仕事と、豚を飼う仕事と、豚肉をお客さんに届けるお肉屋さんの仕事。餌屋さん、豚屋さん、お肉屋さん、3つの商売をちっこくまとめて、やっていこうよ、というのが私の商売の仕方ですし、大規模畜産に疑問を持たれた方たちのオルタナティブな畜産というのは、まあまあ似たようなところを志向されてやっていく方が多い。全国にも、まあ五十歩百歩の私らの規模と五十歩百歩のところで、100軒ちょっとの方が、そういうオルタナティブな豚屋なら豚屋というのを営んでられる、そんな印象です。
そのなかで、その温暖化の被害ということなんですけれども、私が一番、感じるのはお肉屋さんの方で、お肉、生ものなんで、それを扱うと、どうしてもお客さんのところでお留守だったりすると、保冷剤を入れた箱で置いてくる。そういうようなところで、保冷剤の数を増やさなきゃいけない、みたいなところが一番、正直、ありますね。牛、豚、鶏のなかで、牛が一番、暑熱のストレスに弱くて、特に牛のもともとの発生が、品種の育成がヨーロッパでも北の方の作られている生き物なんで、どうしても、ちょっと33℃を超えてくるみたいな気温になってくると、死ぬやつも出てくるということで、そのへんは大規模なところだと、もちろん餌をやる時間帯だとか、それこそアミノ酸の配合で、例えば、消化するときに出てくる余計な熱を発生させないようにだとか、あとは遺伝子でちいっとでも暑熱のストレスに強そうな群れを残していくか、すごく緻密なことをやっておられますが、どうしても牛は牛というところがありまして、どこかで地域によっては限界を迎えてくるんじゃないかと感じながら、特に酪農をやってられる方が多いんじゃないかなと推測します。
ウチなんかでも豚舎のなかで分娩させてたときには暑すぎて、乳が出なくなるみたいなこともありましたけど、放牧するようになってから、そのへんの暑さで母豚が参るということはなくなりました。ただ放牧は放牧ですごく面積を取る飼養方法ですし、正直、放牧っていうと、イメージはいいですけども、糞尿の垂れ流しっていう形態にもなってしまうので、土地が分解できる上限以上に飼ってしまうと、環境負荷がかえって増えるというようなところもあるんで、そのへんのところは、本来だったら飼養密度の上限なんかを国で設定してもらえた方がいいのかなと、思ったりはしています。
私の方でざっくり言えるっていうのは、そんなところですね。で、気象危機、温暖化のなかで怖いなって思うのは、先ほど、果樹の方の先生もおっしゃってたんですけども、台風の大型化とか大雨の集中豪雨ですね。どうしても農業、特に畜産っていうのは、結構、設備投資をお空の下ですべての投資がされているというところがあって、それがそれぞれで鉄筋コンクリートの建物みたいなところと違うところでやってますもんで、大きな台風一つで深刻な被害を受けるっていう方が毎年、発生していらっしゃいます。なんで、できればそういうものに対して、異常気象で損害を受けたものについては、早急な復旧なりというものを公的に支援する仕組みがあったら、畜産としては巨大なリスクをいつも抱えながらやっていくというところから、少し前向きに向き合っていけるんじゃないのかなと思ったりしています。
ちょっと前向きな話としては、畜産業は屋根をたくさん使っている産業なんで、太陽光発電なんかが売電が上手くいくようなところだと、それが副収入になっていったり。あと糞尿からバイオガスを取って、それもエネルギー生産をして、自分のところの農場のエネルギーを賄ったり、売電をして所得に代えていったりという、そういう経営がチラチラ見えているかな、っていうのが、温暖化と畜産というのを眺めたときに、私から見えている景色というようなところになります。以上です。
◆宇田篤弘さん
どうもありがとうございました。それでは続きまして、林業の方から報告をお願いします。家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン副代表の上垣喜寛さん、よろしくお願いします。
◆上垣喜寛さん
はい、よろしくお願いします。ちょっと手短に、という形にしたいと思います。私も相原さんの消費者というか、100軒のうちの1人で、お肉を買っている者で、推薦させていただいたんですけども、保冷剤を使ってしまっている不在の人で反省をしております。
それはさておきですね、林業の方から相原さんのような小規模な畜産のような形を林業の方でやっております、自伐型林業という形でやっているのですが、今回、その小規模な林業のやり方というのは、あとで本も出たので、それはもし興味があったら見ていただくとして、気候変動のところで、その小規模な林業ではなく、今の日本の主流の林業のことと、それが併発する災害の面のところについて、5分ぐらいで話したいと思います。
普通の林業というのを少し、皆さんも知っているとは思うんですけども、50年で植えてから伐ってサイクルを回すという形でやっているのが普通の林業になるんですけれども、それは今、どんな形でやっているかと言うと、すごく効率化が進んできておりまして、大きな機械を入れるということで、このようにまっすぐ線が入るような列状間伐っていうものをしたりとか、明るい林業と言いながら、かなり光を入れるような林業、これが増えているというような形ですね、大きな機械で。で、大きな機械を入れるので、広い道を入れて、風も入ってしまうと。
一番怖いのは水と風と光というのが山なんですけれども、このような形にして、林業家の中では山が焼けると言うんですけれども、これだけの気候変動で温暖化が進んでいく、にもかかわらず、表面を晒し出すような林業が進んでいると。これがですね、気候と関係していくんですが、まずはこういう道をつけることによって、土砂災害が発生していると。このような感じですね。岩手県の方では、右下の方に民家がありますけれども、森を隔てた上が普段、下からは見えるんですけども、上の方で土砂災害が起きてしまう。道がついて、そこから土砂が出て、土砂が民家に崩れているという現象まで起きていると。
こういうのをあんまり普通、気づかないというかですね、これがまさか林業と結びつくとは思ってないんですけれども、これも超大規模な列状間伐という、間伐をしてると言いながら、丸裸にするような皆伐をしていると言うことで、これを今回、整理しますとですね、左が雨、真ん中が土地ですね、で右が土地開発ということで、自然要因というのは、雨と土地というのは仕方ないことなんですけれども、それに加えて、右の土地開発ですね、これが今、林業なんですね。林業が上を崩して、で、川を汚して、最近もそういう話はよく聞いているんで、キャンプ場を作ったと思ったら、ウェディングケーキみたいな地表が見えてしまうような林業をしてしまっていて、結果的に水が土地を削るっていうような現象まで起きていると。こういう林業は単に未曽有の豪雨とかということではなくて、一旦、今の林業はいいのか、という負の側面を見た上で、小規模で環境保全的な、僕らで言うと自伐型林業っていうものをやっていくことが、対抗策というか、今これは国の方でも議論をしてくれているんですけども、そういう環境保全型の形も必要ではないか、という形になっています。
あと1分だけ。大船渡ですね、これ。大船渡で3300ヘクタール、火災が起きたんですけども、これもちょっと前を見ると、これは大船渡の燃えたところなんですけども、茶色く見えているところが皆伐地ですね、緑じゃないところも裸になっています。こういうところが今、日照りが起こって、先月、代表が調査したんですけども、このような感じですね。茶色くなっているところは残っているんですけど、下が燃えている。で、枯れるんですけど、割とですね、緑も残っているんです。この緑の残っている山の方へ行ってみると、この茶色いところは何があるかというと、道なんですね。道があって乾燥しているところが燃えているという現象があって、密度が高い、未整備に近いところは緑に残っているという、ひじょうに皮肉な結果になっているという調査が出てきたというところです。
なので、整備が遅れてて、人がいない、だから大型機械を入れて生産性を上げるために林業をする、という短絡的な一般常識化している林業から、もう少しですね、小規模な林業というものを1回、リセットしていくということが必要な、考える一つのことかなということで話題提供とさせていただきたいなと思います。本のことについては、また後ほど、チャットでアドレスなどを入れるので、ぜひ見ていただければというふうに思います。以上です。
◆宇田篤弘さん
どうもありがとうございました。それでは最後の報告です。漁業になります。全国沿岸漁民連絡協議会の共同代表で、北海道焼尻島の漁師さんです。高松幸彦さん、よろしくお願いします。
◆高松幸彦さん
はい、それでは時間の方もだいぶ経過しているようで、漁業の現場から報告させていただきます。ここでは私自身、長い漁業の経験から、島の漁業の変化、それと海の変化ですね。それについてお話したいと思います。
その前にこのパネル1に書き込んでありますけど、日本周辺の海域っていうのは、世界平均の2倍の温度で上昇しているということなんですよね。とてもショッキングな話ですけど、これが事実なんですよね。それでよく資源が減ったっていう話題がニュースなんかでも流れますけど、そういうときには漁師が獲りすぎているから。よくそういう話があるんですけど、実際のところ、漁獲圧をかけていない、要するに需要のない魚介、それから藻類でも明らかに減少したり、それから消滅してしまっているっていう、そういう現実があるということを皆さんにお話しておきます。
その前に焼尻島ってどこか。なかなか北海道地図を見ても出てこないんですけど、ここに周囲12キロの小さな島が2つあるんですよ、焼尻島と天売島。ここで私は漁業を54年、しています。現在69歳、まもなく70歳になりますけど、現役でまだ漁業をしております。その漁業形態ですけど、動力船の5トン未満の船を、1人乗りの船ですね。それをもってタコだとかナマコを獲っている、それがメインなんですけど、そのほかに後に出てきますけど、磯根漁業と書いてますけど、これは小さな0.5トンぐらいの船で、覗きメガネで海の底を見ながらウニを獲ったりアワビを獲ったりする。島全体としては、タコだとかこういう、ここに書かれている、こういう漁業を皆さん営んでいます。
これも林先生が最初に説明してくれたんで、皆さん当然、こういう基本的なことはご存じかと、時間の関係でちょっと割愛させていただきます。ここで大事なことだけ1つ言わせてもらうと、アリューシャン低気圧の勢力の影響というのは、まさに漁業に影響を与えるんですよ。農業もそうかもしれませんけど、特に低気圧の発生の仕方で、その後の海の状態がガラッと変わる。それから当然、それこそ二酸化炭素の影響で海自体もですね、酸性化がだんだん進んできているという現状にあります。
先ほど話した磯根漁業というのは、こういうような状態で、これ覗きメガネですけど、長い竿で海のなかから、1個ずつ、ウニを獲ったりするんですけど、ここで書かせてもらっているウニ漁というのはですね、同じ海、島の周辺の海をですね、毎年同じ時期にそれこそここで操業するわけですよね。これを何十年も、私の場合は54年、続けてきているわけですけど、まったくこの海の状態というのは、過去に遡っていって、5年前、10年前、20年前、30年前と、こうやってきたんですけども、若い人が漁業に従事しましたと。それで、5年前、10年前との変化っていうのに、気づかないかも分からない。我々っていうのは、20年、30年前と比べてどういうふうに変わったかという、もうすごい大きな変わり方なんですよね。それで50余年も同じ海を見ていれば、最初の頃と今っていうのは、もうまるっきり違う海です。
過去にじゃあ、どういう漁業をしていたかっていうと、自分が漁師になった頃、昭和45年なんですけど、その頃っていうのは、やっぱり漁船漁業が主力で、マガレイの刺網だとか、コウナゴって、イカナゴって言うんですか、よく本州の方でくぎ煮にしたりするあれですね、それとタコはミズダコ、あとヒラメですね。磯根は、僕が漁師をやった頃は、その頃はこっちがメインだったんです。アワビ・ウニ漁、ウニでも今は、先ほどの映像で出てましたけど、これはキタムラサキウニと言って、棘の長いウニですね。ここに書いてある、当時はですね、もともとはエゾバフンウニって、本当に馬糞に似た感じで、棘が短い、こっちの方が高価なんですけど、これの水揚げがだいたい60%ぐらい占めていたんですよ。それが今はもう、完全に逆転して、現時点では、このバフンウニというのは、もう獲っていないんですよね。
それと、僕ら一番、漁業の仕事で嫌だったコンブですね。コンブ干しとそれからワカメ。これも随分獲れて、多くの漁業者がこれに依存していました。当時は今の10倍ぐらいの組合員数がいて、その6割ぐらいはそれでご飯を食べていたということなんですよね。当然、その頃の海の状態を今、思い出してみても、コンブとワカメ以外にもホンダワラ類やアマモやスガモですね、テングサ、ほかの海藻もですね、豊富に海に繁茂していた状態、それだけ海の状態が良かったわけですよね。
これちょっと、気象庁の107というのは、私は北海道の留萌支庁なんですけど、留萌振興局というところに住んでいるんですけど、そのなかの焼尻なんですけど、107というのは、その留萌の北部の方、だから私の島とほぼ、島からほとんど4、5マイルぐらいしか離れていないような海域のデータですね、これが1982年から現在までの日別の水温をですね、全部データ見てですね、自分なりにまとめてみたんですよね。5年間の平均で出してみたんですけど、明らかにですね、1982年以降、上っていってるんですよね。特に先ほど、農業の方からも示されていましたけれども、ここ2000年頃からそれこそ極端にやっぱり最高温度を赤字で示したものですけど、明らかに高くなっているんです。陸の場合の平均は確かに、6℃、7℃上っているという、そういうあれですけど、海のなかで1℃違うとなったら、魚が今までちょうどいいお湯に浸かっていた、人間がお風呂に入って、ちょうどいい湯加減だったのが、熱くて熱くて入られないというような状態、それ以上のことなわけですね。海の水のなかというのは、生き物にとって。それが今これ、現実に起きているということなんです。
これをさらにちょっと等期間に絞って見てみました。この等期間というのは、なぜ等期間の水温を今、拾ってみたかと言うと、海藻っていうのはですね、昔から漁師のあいだでは、海水温の低い年、そのときは植物の生え方が、繁茂の仕方がいいという、そういう説があって、これは学者の方も最近、皆、同じようなことを言います。水温が低いときには、冬場にちょうど芽が出てきて、伸びかかった植物ですね、それをやっぱり例えばウニなんかだったら、6℃、7℃ぐらいになったら動き出して食べるんですけど、それがやっぱり活性が弱まるんですよね。だから、それこそ海水温が低いときはコンブの生え方がいいとか、そういう条件になるということです。
それが今、6℃に到達した日ですね、それとこれはその年の最低温度を表したものなんですけども、1982年からずっと、ちょっと表が見づらいですけど、表を2つに分けています。これが今、1の続きなんですけど、これを見てみるとですね、やっぱり後半にうんと高くなってきているんですよね。もうさっきの最初の表と同じで、これもやっぱり顕著に表れています。これ、磯焼けと大きく関係しているんですよ、これは。磯焼けの状態というのは、海藻が生えない状態で、ウニなんかの植食の生物が活発に活動するもんで、生えてくるというか、岩盤をサンゴ藻と言って、石灰層が覆って、白くなって海藻が生えない状態を言うんですけども、これが広がってきているということの表れです。
これちょっと、今は海藻に関して先ほど言いましたけど、このパネルのなかではですね、夏の期間の海水温度、これじゃあ、どれくらいあったのかというと、やっぱり20℃というのが私たちの地区では一つの目安にしているわけですよね。それ以上になるとやっぱりそこに生息しているものにもそうだし、回遊してくる魚にも影響するという一つの目安として20℃というのを挙げています。これがどれくらいあったかというのを全部拾ってみたんですけど、例えば82年にはですね、延べ数で47日ありましたと。それが8月の15から9月の14まで続きました。これが47日で、そのときの最高値が21.7℃でした。こういう表を作っていくと、やっぱりこれ、面白い結果が出てですね、次の表を出しますと、見てください、もう極端にですね、20℃以上の水温が停滞している日が確実に長くなってですね、それから最高値も23℃とか、こういうような水温になっていると、明らかに顕著に出ています。これが長期化すると、海藻類にも影響するし、例えばさっき話したエゾバフンウニですね、あれなんか完全にもう、低水温性のものなんで、もう生息できるような状態じゃないですよね。これがもう明らかにそういうふうになっているということですね。
もう時間があれですね。磯根漁業自体の変化を言いますけど、チヂミコンブって皆さん、聞いたことがありますかね。粘り気の強い、高級コンブなんですけど、これは浜の奥さんたちがよく時化ると寄ってくるものを拾ったりなんなりして、これも結構、小遣い稼ぎっていうか、副収入として貴重なものだったんですけど、これは今もう、一切、検体が欲しいという大学の先生方もいるんですけど、もう1枚もないんですよね。それぐらいもう、完全に消滅です。それからヤギシリアラメっていう、焼尻という名前がついてますけど、これも海藻としての需要はぜんぜんないんですけど、やっぱり沖合というか、ある程度20、30メートルまで樹勢というか生えるものなんですけど、これはナマコなんかの棲み家、あるいは腐ったあと、ナマコの餌になったりっていう、これも大事なものだったんですけど、これももう今、1枚もないです。完全に消えましたね。それとホソメコンブ、こういうものも、ホソメコンブはもう、本当にあと数%もあるのかな、焼尻の島全体で。その程度しか今、もう残っていません。ホソメコンブも、もう10年したら、宗谷岬でしか見られなくなるんじゃないかという話もありますからね。それからホンダワラ類、スガモも急減しています。さっき話をした磯焼けの無節サンゴモですね。それからエウルシグサ、酸の強いこういう草が異常にやっぱり増えだして、ウニの餌にもなんにもならない、そういうものがどんどんどんどん増えてきています。これ、さっき話をしたエゾバフンウニがもう85年頃からキタムラサキウニにとって代わられています。
漁船漁業の変化もそうなんですけども、先ほど20℃が目安だってことを言いましたけれど、コウナゴも2000年頃までは一大産業だったんです、ここの。主力だったんですけど、これがもう、産卵、イカナゴっていうのは仮眠するんですよ、砂に潜って夏を過ごすんですけど、高水温が長期化した影響で、親魚自体も、色んな説があるんですけども、僕は死んだりしているというのも一つあると思うんです。先ほど林先生だと思うんですけど、低酸素ですね、僕らは貧酸素域と言ったりしますけど、そういうところがやっぱりあるんじゃないかっていうことですね。それも完全に商売が成り立つような状況にありません。それとオキアミ、これも95年頃から極端に減り出して、今はもうやっていません。これは春先のプランクトン量の発生が極端に減少したということですね。時間、大丈夫ですか。
それじゃ、ただ僕は嘆いてばかりいないで、今年ですね、実はワカメの群落がもう島じゅうワカメだらけになったんです。なぜか、今までなかったのに。それと、ニシンもここ10年ぐらい、ニシンの群来ですね、これはもうつい最近のものなんですけど、これは海面が白子でもう濁っているんです。産卵でこの磯に打ち上げられるぐらいニシンが来ているんです。こういう現象が北海道じゅう現れてきているんです。これは、その環境に対して耐性種が出てきたんじゃないかという、一つの、それが事実であれば、嬉しいかぎりなんですけど、こういう現象も現れてきたということで、一つ示させていただきます。どうもありがとうございました。
◆宇田篤弘さん
はい、どうもありがとうございました。基調報告の林先生、また現場からの報告、5名の皆さま、本当にどうもありがとうございました。そしたら、このシンポジウムの最後に、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンの常務理事の池上さんの方からですね、まとめをよろしくお願いします。
◆池上甲一さん
失礼しました。ちょっと今、パソコンの調子が悪くて、画面が動きませんで、申しわけありません。時間もありませんので、今日は少しまとめをしたいと思っておりましたが、もうご報告いただいた皆さん方へのお礼を申し上げて、終わりにしたいと思います。
ただ、色々な現場の声を聞きたいというふうに思いまして、たくさんの方をちょっと盛り込みすぎたかなと若干、反省をしているところであります。私、企画を担当しておりますので、その企画の担当の者として、少し反省をしなければいけないかなというふうには考えているところです。ただ、色々入れただけの成果はあったなというふうに感じております。本当にこう皆さん方のご苦労と色々な工夫、それからわずかだけれども、希望の面も見えているということで、大変、これから色々なことをやっていけるかなというような気になりました。
最後に一つだけ、近藤康太郎だったかな、というコラムニストというか、自称、自給百姓の方がおられますけども、大規模追求農政路線に対して、あるいはそういう方向を目指すマスコミやそれから財界、あるいは財務省の方向に対して、個人自給が一番強いというふうに考えて、ご自分でも今、百姓をやっておられると、そういう小さな農業、こまごまほそぼそと、なおかつ強靭に続けていくことが大事だろうということを改めて感じました。ということで、今日は一応、まとめになりませんが、一応、最後の挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
◆宇田篤弘さん
これを持ちまして、シンポジウムを終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。