家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は8月2日、有機農業の推進に関する基本的な⽅針」 (有機農業基本⽅針)に対するパブリックコメントを提出しました。以下はその内容です。
今回パブリックコメントにかけられた「有機農業基本⽅針」は、2020年制定の「有機農業基本方針」と比べ、有機農業の拡大に向けて意欲的な目標を掲げているし、また有機農業が食料安全保障に貢献することを明記した。 これらの点は高く評価したいが、 その一方でこれまでの有機農業の発展を支えてきた中小規模農家の努力を軽視し、供給力の強化という名目の下に有機農業の理念を損ないかねない方向が前面に出ている点に強い懸念を感じる。全体として方針の重点は 「みどり加速化GXプラン」 やスマート農業による産地形成に置かれている。 このことが全体をつらぬく基調をなしている。 この方向性には問題が多いので、以下の諸点を十分に検討し、その経過と結果を丁寧に公開することを求める。
(1)有機農業推進法の定義では、有機農業を化学合成農薬・肥料と遺伝子組み換えの不使用および環境負荷の軽減する農業と規定しており、そこだけをクリアーすればエネルギーと資本を多投する植物工場の農産物でも「有機農業」を自称できる。同法の理念である自然循環機能や環境との調和、生物多様性の保全をこそ重視する方向に誘導するような方針とする。
(2) 有機農業において大ロット生産、 広域流通や輸出を目指すことは現実的ではないし、問題も大きい。 モノカルチャー型の大量生産は有機農業の理念とそぐわない。 生産段階での環境負荷は減るかもしれないが、 輸送・貯蔵段階でそれ以上に負荷を増大させる恐れが高い。生産過程から消費まで (できれば廃棄まで) の環境負荷を推定するLCAの視点を導入する。
(3) 有機農業は中山間地に適する農業形態であり、 また大規模経営が成立しにくいという地形条件を考慮して、とくに中山間地期における中小家族農業の有機農業の振興を目指す。この点は基本方針の「第 1 基本的な事項」にも記載されているので、その具体的内容の確定と早急な政策の実施を期待したい。重要なことは、この具体化に際して、中山間地における中小規模有機農家の意見を愚直に集め、真摯に施策化することである。
(4)有機農業の分からない国民が50%以上存在するという貴省の調査結果( 「有機農業をめぐる事情」 )は衝撃的であるが、そのことは単なる啓発では限界があることを意味している。もっと直接的な手法の開発に努める必要がある。たとえば、定期的な無料・収穫物持ち帰り型の有機農業体験休暇制度や教育ファームと有機農業との連携などによって有機農業と農産物に直接触れる事業を検討してはどうか。 この点で、 市民農園で有機農業に取り組む消費者は、そうした施策のドライバーとなり得るのではないか。