サイトへ戻る

【報告】FFPJシンポジウム:女性が参画する農業の実情と意味—女性農業者国際年に寄せて

· イベント

FFPJは5月31日、第9回総会の企画として、シンポジウム「女性が参画する農業の実情と意味—女性農業者国際年に寄せて」を開催しました。シンポジウムでは、国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所長の日比絵里子さんが基調講演。続いて、杵塚歩さん(静岡県のちぃっとらっつ農舎、FFPJ常務理事)、鴫谷玉実さん(新潟県たましぎ農園の共同経営者)、小葉松真里さん(フリーランス農家)によるパネルディスカッションが行われました。司会は、愛知学院大学教授(FFPJ常務理事)の関根佳恵さんが務めました。

開会・趣旨説明(関根佳恵さん)

 皆さん、こんにちは。シンポジウムの司会を務めます、愛知学院大学の関根です。最初に、このシンポジウムの狙いや流れについてお話をしたいと思います。今年は国連の「女性農業従事者の国際年」ということで、その国際年に寄せて、女性が参画する農業の実情と意味というテーマで、前半の基調講演と後半のパネルディスカッションでお送りしていきます。

私は司会を務める愛知学院大学の関根と申します。よろしくお願いします。私は、農業経済学を専門にしていますが、特に家族農業、小規模農業、アグロエコロジーなどの研究をしています。今日のテーマとのつながりで言いますと、大学院生の時にマリア・ミースの『国際分業と女性』という本を女性研究者と一緒に輪読をした、というのが最初のフェミニズム、ジェンダー論の入り口になっています。ジェンダー論の専門家というわけではありませんが、とても関心を持っているテーマになります。

家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は、2019年の国連「家族農業の10年」の開始に合わせて結成された市民社会団体になります。ホームページやSNSで情報発信をしていますので、よろしければご覧ください。この「家族農業の10年」には、世界レベルの行動計画として7つの柱があります。今日のテーマである女性は、このうち3つ目の柱、「家族農業における男女平等と農村の女性のリーダーシップを促進する」という柱に関係しています。これが、まさに今年のテーマになっています。

FFPJでは、今まで女性農業者に関わる活動として、オンライン学習会や総会シンポジウムの開催で、このテーマを取り上げてきました。農業・農村のジェンダー平等、農業分野で活躍する女性の取り組みと課題等を取り上げてきました。そういった企画に登壇いただいた女性研究者や女性農業者の方々等を中心に、2023年9月にジェンダー部会を立ち上げています。これまで、国連「家族農業の10年」の日本の国内行動計画の策定や国内の法律・制度等についての政策提言でも、女性に関わる提言をしてきました。

その一つとして、最近、今日パネリストのお一人である杵塚さんの呼びかけで、私も色々調べてみました。そうしたところ、日本とフランスで、農業者向けの産休・育休制度がこんなにも違うことが分かりました。それをまとめたのがこの表です。フランスだと1970年代から女性農業者の産休制度が導入され、2008年には他産業並みに延長されています。子どもの数によって期間が違いますが、最長で1年近く休暇を取ることができます。その間の代わりの労働力を雇用した場合、費用は全額社会保険でカバーされるということが分かりました。男性の育休にも使えるということです。日本にはこういう制度がないので、かなり大きな改善が必要だなと思っています。

こちらは、農業に限らず日本社会全体のジェンダーギャップ指数(2025年)です。教育や健康面はかなり平等になっていますが、経済参画と政治参画では平均値を下回っていまして、全体の順位は118位とかなり低くなっています。ですから、社会全体で取り組まなければいけない課題だと思います。

そういうことで、本日の総会シンポジウムでは、国際女性農業従事者年ということで、最初に、「なぜ女性農業者に注目するのか」というテーマで、FAO駐日連絡事務所長の日比絵里子さんに基調講演をいただきます。

 その後、パネルディスカッションで静岡県のちぃっとらっつ農舎の杵塚歩さん、新潟県のたましぎ農園の鴫谷玉実さん、そしてフリーランス農家で本日は上海からつないでくださっている小葉松真里さんにご登壇いただき、こちらの1番から3番の内容についてディスカッションしていきたいと思います。最後に、コメントを農民連女性部事務局長の、満川暁代さんからいただきます。そして、ご参加の皆さんと最後、15分ほど質疑応答をしていきたいと思っております。

 それでは早速ですが、日比さんの基調講演に移りたいと思います。日比さんよろしくお願いいたします。

基調講演「今なぜ女性農業従事者に注目するのか?」(日比絵里子さん)

 ご紹介いただきありがとうございます。FAOの駐日連絡事務所長の日比と申します。よろしくお願いいたします。

 本日のテーマは「今なぜ女性農業従事者に注目するのか」という、この国際年の背景にあるものを、できるだけ簡単にお話しできればというふうに思っております。簡単にFAOについてですね、私がどういう観点で皆様にお話ししているのかというのをご説明したいために、FAOの組織としての目的ですね、簡単にご説明いたします。ここに書いてある通りですね、世界の全ての人々の食料安全保障を達成するという大きな目的のために、FAOの場合は、生産、栄養、環境、生活と4つの柱を通してですね、農業・食料システムをより効率的で、包摂的、つまりいろんな人をインクルーシブですね、みんなを包摂できるようなもの、強靭でかつ持続可能なものにしていくようにすると。そこを世界各国ができるように支援するというのが、非常に簡単に言えば我々の使命であります。

 FAOの場合、農業というと農林水産、畜産を含めた、全部の食料の生産分野、そして食料システムということで、最近このシステムという言葉がよく使われるんですけれども、要は生産の段階から加工から流通から消費、廃棄。それをその周りにある例えば経済状況であるとか人権であるとか、環境などを含めた非常に大きな概念を持っております。ということで背景として、多分この国際年そのものを話す前に、なぜ今本当にここまで国際年で女性農業従事者に注目しなければいけないのかと。そもそも私たちが今、世界の食料安全保障でどういう状況にあるのかということをご説明します。

 この左側に見えているのが、毎年7月にFAO、他国連の4機関で合同で発表している、世界の食料安全保障と栄養の現状という年次報告書です。その前年ですね、7月に出るので、2025の場合は2024の世界の飢餓人口であるとか、栄養不良の現状みたいなものを発表しています。ということで、もう間もなくですね、あと1ヶ月ちょっとで、今度は2025年ですね、の世界の食料安全保障の数値が出てくるところです。ここに書いてある通り、大体世界の11人に1人は飢餓に苦しんでいると。飢餓という言葉を聞くと、日本人の日本語で感じると、ものすごく痩せ細って、よくテレビとかで出てくるような、本当にものすごく、今日明日にも命を落とすのではないかと、危惧されるような状況の人というイメージなんですけれども、ここでいうハンガー(hunger)ですね。英語でいうお腹を空かしているというのは、そういうような非常にギリギリのところにいる人もいれば、今、今日明日数ヶ月は大丈夫だけど、明らかにカロリーが足りていなくて、これからどんどんと弱体化していく人たちも含めた、比較的広い概念で、大体世界で11人に1人ぐらいこの数字になっています。

 この場合はカロリーの話になっています。ところがこの3つ目ですね。26億人が健康的な食事に手が届かなかった。これは経済的な理由ということになっています。これは何を言いたいかというと、大体世界の3人に1人が、もしかして食べ物はあるかもしれない。だけれどもそこの健康的な栄養バランスの取れた食べ物が、値段が高すぎて買えなかったと、ちゃんとした食事ができなかったって人が、なんと世界には3人に1人ぐらいいるということで、これも非常に大きな問題です。カロリーだけではなく栄養バランス、そしてそこに経済的な要素が入ってくるというのが、ここで重要な課題であるということですね。ということで2030年までに世界の飢餓人口をゼロにするというのがSDGsの目的ですが、今の状況、今のこのままのトレンドを見ていると、達成は難しいのではないかと危惧されている状況です。

 ちなみにですね。だいたい毎年この報告書に入るのが、女性の立ち位置になっているんですけれども、女性と農村部に住んでいる人の方が、食料不安の率が高いというのが統計的に出ております。これ今お話しした飢餓人口の動きを、これまでのグラフで見た形になってます。じゃあ皆さん飢餓の、なぜ今世界にはこれだけ飢餓があるのかというふうに、疑問にもたれるかと思います。非常に複雑な問題を、おそらく非常に単純化した形でご説明をすると、まず一つは気候変動による極端な気象現象ですね。例えば干ばつであるとかあるいは大雨であるとか、異常高温などによって、色々なところで、作物の生産に影響が出る、畜産に影響が出るというようなことが、世界中で起こっていると。そういうような極端な気象現象ですね、気象災害みたいなものから、もしかして目の前で大きな影響はないかもしれないけれども、だんだんと気温が上がってきて、今までできた作物の、例えば収穫高が落ちてきたとか、そういうような徐々にある変化ですね、そういうものによって影響を受けると。

 それから真ん中はですね、この写真は経済的なものと、経済ショック経済停滞ということで、例えばコロナによる経済停滞と、新型コロナの感染拡大というのは、あの当時は保健の問題ではあったけど、最後は結局、経済問題になってしまった。いろんなところで人が動けない、あるいは流通に滞りが出るというようなことを、皆さんも今も覚えていらっしゃると思います。そういう形で経済に影響が出ることによって、結局、今まで何かを買えてた人たちが買えなくなった、あるいは所得が落ちた、あるいは物の値段が上がったということによって、相対的な購買力が落ちて、結局それで栄養価の高いものが買えなくなった。あるいは十分な量が買えなくなったという人たちが、世界でいろんなところで出てくるわけですね。それによるそのような経済ショックによるもの、そして最後のものは紛争です。

 紛争というのは長い間我々は紛争は特に、起こった地域、起こった国、その近隣諸国などを含めて影響があるのかなというような形で、もちろん当時国は例えば生産者がいなくなるとか、あるいは流通網が寸断される。いろいろな直接的な原因で、食料安全保障に影響が出るわけですけれども、ウクライナにおける戦争において我々が気がついたのは、実ははるか遠くで起こっている紛争によっても、実は地球の裏側にいても、今これほど我々は世界貿易で依存しているので、結局、風が吹けば桶屋が儲かるじゃないですが、いろいろな形でですね、世界各国に影響が出てくるということを理解したということですね。そしてそれは今我々が毎日ニュースで見ている、ホルムズ海峡における影響についても、まさに同じことが言えるというふうに言えると思います。

 あともう一つですね、背景として申し上げたいのがプラネタリー・バウンダリーですね。これ背景というよりも、農業・食料システムとの関連性ですね。先ほど申し上げなかったんですけれども、気候変動に関していかに農業とかが影響を受けるかと、被害を受けるかというお話をしたんですけれども、実は農業ですね。畜産を含めた、あるいは農林水産そして加工流通廃棄など、全部を含めた農業・食料システムは、気候変動を進める温室効果ガスの排出の大体3割ぐらいを担ってしまっていると。そこにその原因になってしまっているというのが現状で、つまり気候変動による影響を農林水産、あるいは食料のものが受けるのと同時に、我々の今の農林水産あるいは食料の生産消費のあり方が、逆に気候変動も進めてしまっているという、相互関係にあるということが非常に重要で、このプラネタリー・バウンダリーというのは、スウェーデンの科学者が、ストックホルムのレジリエンス・センターというところで、世界の科学者が一緒になって、今の地球はどういう状況にあるのかという、地球の健康診断と言われています。本来地球は様々な負荷がかかった時に、元に戻る力を持っているんですね。ところがあまりに負荷がかかりすぎると、だんだん地球が元に戻らないままに、どんどん余計な負担がかかってきてしまって、もう元に回復できないようになってしまうよということを、ここでみんなにアラームを鳴らすというのが、このプラネタリー・バウンダリーの背景にあり、細かいことは言えないんですけれども、この生物圏の一体性ですね。例えばこれ生物多様性の損失であるとか、一番下の6時あたりにある生物地球化学的循環ですね。要はこういうようなリンとか窒素が、地球が負担できるよりもはるかに多い量が今循環してきてしまっているというようなところなどですね。大きな地球に負担がかかっていて、非常に広く言われているのはやはり農業・食料システムというのは、このプラネタリー・バウンダリーの大きな課題を解消するためにも不可欠な分野であると言われているというような状況です。

 これも今申し上げました気候変動と農業・食料システムとの関係ですね、相互関係であると。そして今も言いましたが、生物多様性ということで、やはり農林水産の在り方が生物多様性にも大きな影響を与えるし、また生物多様性の状況が我々の食料システムに、食料農業の在り方にも大きな影響を与えているということで、非常に重要な部分です。そして水資源ですね。非常に地球上に少ない淡水を7割以上ですね、農業分野が使っているということで、どんどんと枯渇していくそういう淡水を、今後どういうふうにみんなで持続可能な形で使っていくのかというのは、非常に大きな問題であり課題であり、そして農林水産を含めてですね、これからも非常に大きな影響を受ける分野であると思っています。

 ということでですね、すみません前置きが非常に長くなったんですが、なぜ女性農業従事者の国際年が今あるのかというところに行きたいと思います。女性農業従事者という言葉はですね、実はその農業の分野、それも農林水産の分野だけではなくて、生産の分野だけではなくて、例えば流通であるとか加工であるとか、あるいは研究であるとかですね、そういう広い意味でのそういう農業・食料システムに携わっている全ての女性を対象にするということです。なぜなのかと。まずは女性が非常に大きな重要な役割を果たしているということで、この農業・食料システム全体非常に広いわけですけど、その中で働いている4割の人が女性であるということ、そして女性自身が農業・食料システムに非常にその所得を依存しているという現状もあります。

 一方で土地の生産性は男性より24%低いというような数値であるとか、あるいは女性賃金労働者ですね、この分野における女性の賃金労働者の稼ぎは、男性の賃金労働者と比較すると78%にとどまっている。そして女性が全体的にいろんな意味で、劣悪な労働条件の下で働いているということ。そしてまた土地や融資、それから新しい技術とか教育、あるいは各国で行っている農業省などのサービスなどへのアクセスが、男性よりも限定されているということですね。それから無報酬の労働負担、例えばこれは育児とか介護とか、あるいは地域での労働ですね。無報酬のそういう労働負担が、非常に女性の場合は大きいということですね。

 これはちょっと面白いなと思ったんですけれども、実はこの辺りの数値というのは、実際に2023年にFAOが出している、農業・食料システムの中における女性の立ち位置、ステータスウォーメン・アグリフードシステムというレポートを出してしまして、その中にかなり細かい、多くのデータを組み込んでいます。そこで私も非常に面白いなと思ったのが、今の無報酬の労働負担が、いったい男性が1だったら女性が幾つなのか、というのを各国で比較しているんですね。そこで日本の場合は男性が1だったら、4.95ということで、割と低い方ではないなという風に見れるものですね。これぜひとも皆さんに見ていただきたいので、もしよろしければ、先ほど申し上げた2023年のレポートの50ページに、表になってますので、見ていただければと思います。なぜ私がこれを言うかというと、実は私日本に帰る前にですね、サモアという南太平洋の島しょ国で、大洋州の島しょ国14カ国を見る現地の代表という、FAOの代表の仕事をしておりました。その時にですね、非常に多くの島から、いろんな国からですね、女性がこの無報酬の労働負担がいかに、女性にとって大きな負担になっているかということを、当時ジェンダーの議論になった時がありまして、多くの人が言ってたんですね。これは傍から見るとすごくコミュニティを維持していて素晴らしいと、昔ながらの伝統も大切にしているというポジティブなものもある一方で、その現地に入っていてやはりそういう農村ですね、集落でやはりもうNOと言えない立ち位置にいる女性、そしてそういう場合にはかなり社会的なヒエラルキーがあるので、その底辺にいた場合は自分たちにはやっぱりNOと言えないという、そのヒエラルキーだと男性でもヒエラルキーの下にいた場合は問題になる、ジェンダーとヒエラルキーが両方一緒になって非常に苦労している女性たちを多く見ました。その結果、もう自分は国を捨てて海外に出るんだという人も非常にたくさんいて、なんかその時の話をふと思い出して、やはりこれも一つ大きな背景にあるのかなと個人的には考えました。

 先ほども申し上げましたが食料不安は女性の方が高いという現状の中で、今、農業生産性や賃金の格差をなくして、とにかく食料安全保障を改善しなければいけない。つまり先ほど申し上げた環境であるとか、気候変動であるとか経済ショックとか様々な問題のなかで、食料・農業システムというのがいろんな方向から負担を受ける。そしてその結果多くの人が食べられなくなり、栄養不良に陥るという中で、私たちはとにかくあるとあらゆる解決策を、模索していかなければいけない。もちろんですね、女性の農業従事者の立ち位置を良くするだけで、さっき言ってた例えば、世界中の飢餓がゼロになるとは思わない。けれどもその一つの重要なパズルの一つとしてですね、やはりこの女性農業従事者の持っている、直面している大きな課題を解決することによって、少しでもですね、先ほど私が申し上げたバックグラウンドにある、大きな世界の食料安全保障の問題を、少しでも改善できるのではないかというのが、この国際年の背景にあるということを申し上げたいと思います。

 ということでですね、簡単にお話しました。ちなみにFAOはワールドフードフォーラムという、世界のいろいろなパートナーが来てお話できる、そういうようなオンラインあるいは対面のイベントなどもしておりまして、皆様のような非常にイノベーションを持っていろいろ問題に取り組んでいる方にも、ぜひともそういう場所に登場して日本からの声を発信していただきたいと思います。ではよろしくお願いします。ありがとうございました。

基調講演後の質疑応答

◆関根さん

 日比さん、ありがとうございました。とても幅広いバックグラウンドから女性が直面している課題まで、国際的な文脈と日本の文脈が実はすごく共通していることを改めて感じました。日比さんは、この後ご予定があり、ご退出になるんですが、その前に皆さんの方から一つか二つご質問などありましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。なかなかすぐには思いつかないかもしれませんので、また後でチャットなどに書いていただいたら、日比さんにお伝えすることもできるかと思います。

◆杵塚さん

 すみません、今日発言者の杵塚です。質問なんですけれど、さっき農村で女性の方が、あとは農村部の方が食料不安が大きいということだったんですけど、その調べ方であったりだとか、あとはどうして女性の方が食料不安が、従事者としてはしっかりいるのに食料不安が大きくなってしまうのかというのが質問です。お願いします。

◆日比さん

 ありがとうございます。メソッドに関しては、私もレポートそのものを読み込んでいかないと、多分細かい内容があると思うので、もしよろしければ後でその部分は、共有できるかと思っております。これ多分各国によって、いろいろな事情も違うと思うんですけれども、基本的にやっぱり家庭内での発言権が弱いとか、社会的な立ち位置が弱い。あるいは経済的な、財布を握ってるか握ってないかとか、そういうところも含めて。いろいろあるのではないかなと、私は思っています。

◆関根さん

 ありがとうございます。また後程、報告書のリンクを皆さんに共有できればと思います(FFPJ事務局からチャットで共有済み)。あと一つチャットに入りました。「太平洋諸国では加工食品が問題で、目の前に魚とかヤシがあるのにジャンクフードを食べている。それへの対抗として、アグロエコロジーを進めているとの日比さんの新聞記事を読みました。何かコメントがあればお願いしたいです。」という吉田太郎さんからのコメントです。日比さんお願いできますか。

◆日比さん

 ありがとうございます。そうですね、大洋州諸国での栄養の問題というのは、もうずいぶん前から、いろいろな国いろんな機関が取り組んでいて、FAOもその一つでやらせていただいたと。一つはですね、私、大洋州に行ってすごく面白いなと思ったのは、一つはジャンクフードは悪いってよく分かってるんですね。ところがジャンクフードは悪いっていう教育は、みんなものすごく受けてるけど、実際問題としてそれに対して、簡単に食べられる栄養価の高いものっていうのは、意外にないんですね。例えばお魚というのも、現地で獲るお魚っていうのは、本当においしいし新鮮だし素敵だけども、それをいちいち誰かが下ろして準備してきてやるのは、どんな国でも日本でも大変ですよね。まさか一から丸ごと買ってきてですね。

 どうなってるかというと、例えばそういう海に面した村に行った時に、みんな毎日こんな素晴らしいお魚食べてるんですか。違う違うって、今日あんたがお客さんに来たから出してるんだよって。普段はタイから輸入したツナ缶を、みんなでパカッと開けて食べてるんだと。むしろこういう風に獲ってきた、新鮮な地元のお魚は逆に、ホテルとか首都の高級レストランに持って行って、高いお金をもらって、それでみんなでパッパッと食べられるタイの輸入食品とか、そういう缶詰とか使ってるんですよと。ツナ缶はちょっとジャンクフードとは、違うと思うんですけど、そういう形でどこでもやっぱりタイパって言うんですか、タイムパフォーマンス。さっきの時間との戦いっていうのが大きいのかなっていうのと、やっぱり値段の問題もあるかと思います。ご質問ありがとうございました。

◆関根さん

 ありがとうございます。吉田さんからさらにコメントです。「ありがとうございます。」ということでいただきました。ありがとうございます。日比さんはこの後ご予定があるということで、本当にお忙しい中、今日は日曜日にも関わらず、お時間をありがとうございました。失礼いたします。

パネルディスカッション:自己紹介

◆関根さん

それでは、この基調講演の内容をベースにしながら、パネルディスカッションに移ってまいります。それでは、本日の登壇者を改めてご紹介します。杵塚歩さん、鴫谷玉実さん、小葉松麻里さん、カメラをオンにしていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

 それではまず、ご自身の就農の経緯や現在の経営の状況など、お一人5分位ずつご紹介をいただければと思います。それでは最初に杵塚さんお願いいたします。

◆杵塚さん

 ありがとうございます。杵塚歩と言います。何度かこちらのフォーラムなんかにも出させていただいていて、初めてでない方もいらっしゃるかと思うんですけれど、まずは簡単に自己紹介から始めたいと思います。静岡県の藤枝市で生まれて、一時期大学で外には出たんですけれど、また戻ってきて、今現在も藤枝市で農業をしています。大学を卒業してからすぐに就農したんですけれど、その時には親が農業をやっていたので、まずは親元就農ということで、そこで就農して、その間に農民連にも関わらせていただいて、青年部の部長を務めたりだとか。あとビアカンペシーナっていう国際的な農民運動組織があるんですけれど、そこにも参加する機会をいただいて、そこの東南東アジアの地域青年代表をやったりだとか、いろんな海外の農業を学ぶ機会っていうのも、これを通していただけたことがとても大きかったと思っています。

 地元では農業をしつつ、2017年から地域で、れんげじオーガニックマーケットっていうマーケットも、仲間たちと始めて、今十数年になるんですけれど、そういったことも続けています。2019年から今までは、その前までは親元就農っていうことだったんですけれど、独立してちぃっとらっつ農舎という屋号でやっています。ちぃっとらっつというのは分からない方が多いと思うんですけれど、静岡県の藤枝市あたりの方言で、少しずつという意味です。この後お話しする内容を聞いていただいたら、何が少しずつなのかちょっと分かるかと思うんですけれど。今現在、こんな作物を作っていますという紹介なんですけれど、上にちぃっとらっつ農舎とポラーノ農園ってあるんですけれど、私がちぃっとらっつ農舎として、2019年から始めていて。夫婦でやっているんですけれど、パートナーはパートナーで別の農園をやっていまして、それがポラーノ農園なので、2人でこういう作物をやっているよということです。

 経営は別々でやっています。夫婦ですけれど別々で経営していて、それぞれがメインの作物というのがあるんですね。私だったらお茶とここに書いてあるの、お茶・みかん・梅。冬の間は麹と味噌の加工もやっているという形で、彼の方が、ポラーノ農園の方が、穀物とあと養鶏もやっています。ただ実際には作業の点では、書面上は経営は別なんですけれど、作業の面では一緒に作業していることが多くて、今の時期だともうちょうど田植えが昨日から始まったんですけれど、米の生産であったりだとか、大豆とかこれから始まっていくんですけれど、そういったことも共同で、2人で協力しながら作業はしています。ただなかなかこの後の話にも、つながるとは思うんですけれど、もう農業を始めて20何年になるんですけれど、なかなか女性の補助的な役割という見られ方ということが、ずっと農業をどれだけ続けていても変わらないんですね。なので2019年に独立してやろうと思った時も、夫婦で一緒にこれらの作物全てをやるっていう選択肢もあったんですけれど、そうではなくて、やっぱり私は自分の農園として独立して、彼は彼でということで、別々の、書面上はですけど、自分で経営をするっていう選択肢を取りました。

 全て農薬・化学肥料を使わずに有機農業でやっています。私たちが目指す有機農業っていうのを簡単なダイアグラムにしてるんですけれど、基本的に有機農業って言っても肥料を外から買うんではなくて、さっきちぃっとらっつって言ったんですけど、少しずついろんな作物を作っているという理由がこれで、例えば今、田んぼでお米を作っているんですけど、そのお米の小米、くず米が出るので、それを鶏の餌にして、あとは青草とかもいろんな畑から取ってきた草を、鶏に与えて。鶏の鶏糞を今度はお茶畑とかみかん畑とか、そういうところに引いて。今度は稲藁も出るので、稲藁をお茶畑に仕込んだりだとか、その作物がお互いに関係し合っていく中で、資源を農園内で循環させるという、そういう農業を目指して、今もこういった形で農業をしています。

 畑と人を繋ぐということで、なかなか中山間地域の山あいで農業をしているんですけど、本当に若い農業者が少なくて、若い衆ってこの辺で言うと、大体60代くらいの人を指して、若い人って言うんですね。それくらいに若い人が少なくて、20代がまずいなくて、30代、40代で農業してる人が片手で数えるくらい、ちらほらいるくらいの地域なんですね。なので、とにかく農地が、昔はお茶が中心の地域なんですけれど、限られた平地、山間地の限られた平地で田んぼがあったり、小さい畑があったんですけど、それがもうどんどん荒れていくんですね。山の上の茶畑はもちろんなんですけれど。なのでその畑をどう維持していくかということが、今後の課題でもあって。写真で見ていただいているのが、お茶摘みの様子であったりだとか、あと田んぼの田植えとか、稲刈りとか、味噌作りのワークショップとか、そういったことを、同じ市内でも、町の方に住んでいる若い人たち。子供連れの人を、巻き込みながら、今後展開させていこうということで、今年からは、田んぼプロジェクトということで、7組の非農家の人たちに、一緒に1枚の田んぼを管理して、田んぼの技術を学んでもらいながら、米作りを1年を通してやっていくということをやっています。簡単に短い時間ですがご紹介です。以上です。

◆関根さん

 ありがとうございます。お子さんも後ろにいらっしゃる。

◆杵塚さん

 子ども3人育てながら農業しています、はい。

◆関根さん

 ありがとうございます。それでは次、鴫谷さんお願いいたします。

◆鴫谷さん

 こんにちは鴫谷です。私すいません、皆さんこうやっていろいろスライドを用意されているということを全く知らないで、トークのイベントだろうと思ってきたので、全く何も準備していませんけれども、私は兵庫県の神戸市の非農家出身です。まず就農理由としましては、先に新規就農をしていた今の夫と結婚しまして、それを機に農業をやってみるかということで新規就農いたしました。夫の方はいわゆる研修を受けて独立したという形なんですけれども、私は彼が独立した後に結婚したもので、本当に近所の女性農家の方たちにこうやってやるんだよって教えてもらって、栽培技術等を学んだという感じです。あとは県の普及センターの講習に行ったりですとか、あるいは指導に来てもらったりして、いろんな栽培技術を学んだかなというところです。営農地域としましては新潟県上越市なんですけれども、上越市の中心部からだいたい車で1時間くらい行ったところの山の中ですね。杵塚さんと一緒で中山間地域です。もともと川谷小学校という小学校があった地区なんですけれども、そこの4集落を合わせて川谷もより地区といって、だいたい約20世帯40名くらいが住んでいて、ほとんどが今そうですね70代80代というような地域なんですね。その中の一つの集落に私が住んでいるというところです。作物としましては水稲2ヘクタール。それから残りの1ヘクタール畑でそこでコマゴマと小麦だとか、粟だとかあとあの十全なすという新潟県特産のなすがあるんですけれども、そういった野菜ですとか、あと花なんかを育てています。販売はお米がほぼ100%直接販売をしていまして、野菜だとか花は地元の直売所。これもだいたい車で2、30分かかるところにある道の駅に併設された直売所で販売しております。

 経営形態としましては家族経営、家族農業ということなんですけれども、私と夫の2人が労働力というふうになっています。どのような農法でということに関しては、基本的には減農薬で、お米に関しましては3反分だけ完全に無農薬の自家製の肥料だったり、鶏糞だったりを使った有機栽培というのをしております。あと地域での役割。すみません本当に質問の通り答えているんですけれども、地域での役割ということにちょっと質問があったので、それに関しましては今住んでいる集落の会計役をやっていたり、あるいはこの地域全体、川谷もより地区の監事だったり、それからこの地域に農産加工所があるんですね。その廃校になった小学校を活用した農産加工所がありまして、私が移住してきた当時には別の方が代表を務めていたんですが、高齢になってもうちょっとやめたいんだよというので、ちょうどそのタイミングで私が入ってきて、代表を引き継いで2年ほど前に法人化して、今私が代表をしているという状況です。

 ただそうですね。ごく至って普通の特に特徴もない農家なんですけれども、強いて何か特徴っていうふうに聞かれたらですね。儲かるからこの作目をやろうというよりかは、自分たちの暮らしにこれ必要だよねと、こういうのがあったらもっと豊かな暮らしになるよねっていうところをベースにしていて、非常に自給的要素が強いっていうんでしょうかね。そういうのをベースにして、そして規模拡大をしない農家というのが、あえて言うなら特徴なのかなというふうに思っています。大体5分くらいでしょうか。

◆関根さん

 ありがとうございます。最近は今の農政の下で規模拡大しないというのが、非常に難しいというか珍しいというか、そういうプレッシャーがすごく強くなっていますね。補助金の誘導もあるので、規模拡大をしないというのは、すごく大きな特徴だと思います。ありがとうございます。それでは次、小葉松さんお願いいたします。

◆小葉松さん

 はい、小葉松真里と申します。私は、正式な農家でもありませんし、親が農家だったとかそういったわけじゃないんですけども、8年前からですね、土地と家を持たないで、農業に関わるフリーランス農家という働き方をしています。私の自己紹介と農業の関わり、働き方についてお話させていただきます。

 改めまして、小葉松真里と言います。全国、私はいろんな農家さんに出向いてですね、情報発信ですとか、現場のお手伝いをしているんですけども、生まれも育ちも、十勝帯広市出身でございます。両親は普通の公務員と専業主婦の家庭で生まれ育ちまして、学校も帯広の普通科を出てまして、働いていた会社もメディア関係や、あとは街づくり会社というところで働いてまして、全く農業とは関係のない人生を私は歩んでまいりました。そんな私と農業との出会いなんですけれども、新卒で働いた新聞社を通して農家さんと出会ったのがきっかけになります。当時、本当に農業に興味がなかったんですけれども、新聞社の仕事を通して、いろいろな農家さんのお話を聞いたりですとか、いろんな取り組みをしていく中で、地方を支えているのは生産者の方たちなんだなと、日本を支えているのは一次産業者なんだなと、そんなふうに思いまして、この人たちみたいに、そういう根本から地域や日本を支える人になりたいなと、20代前半だったんで青臭い思いなんですけど、そう思って私も会社員の立場を捨てて、やったことのない農業の道に踏み出しました。

 本当に最初は体当たりで農業デビューしまして、最初は富良野の寺坂農園さんというメロン農家さんで、住み込みで働きました。ここで大変なこともいっぱいあったんですけども、初めて経験する農作業ですとか、あとは住み込みメンバーとの共同の生活や、あとは取りたての野菜など私は食べたことがなかったので、そこでの新鮮な体験ですとか、そんないろんな初めての体験を通して、実際体験して私もずっと農業に関わりたいなと思ってですね、最初は新規就農を目指したんですね、私も。目指したんですけども、いろんなハードルがあるなと感じたんですね。いろんな壁はあったんですけど、就農の相談会とか面談会に行って、10年以上前だったんですけど、女性一人で何ができるんだみたいな感じで、そんなことも言われたりですね。全然話を聞いてもらえなかったりですとか、嫁に行けばいいんじゃないとか、そんなこと言われたりして、私は自分の農業がしたいみたいな思いがあったんですけど、あまり話を聞いてもらえないなっていうのがあったりですとか、あとはすごいお金がかかるんだなとか、23、4歳だったんで、何も知らなかったんですけど、そんなハードルを感じまして、そういった関わるハードルもありましたし、既存の農業にもいろんな課題があるんだな、というのを気づきました。

 そしていろいろ壁を感じて、農業に踏み出すのを踏みとどまっているよりも、まずは自分のいろんな情報発信ですとか、新聞社で得た経験を生かしつつ、農業の魅力ながら魅力発信ですとか、何か関わる形を作ることができたらいいなと思って、自分でフリーランス農家という、現場に関わりながら発信するという在り方を自分で作りました。今やっていることなんですけども、フリーランスで農業全般に関わることを、お手伝いしています。主に農作業もするんですけども、ウェブメディアでライターとして、現場からの発信という形で、記事を書かせていただいたりですとか、あとはマルシェの以前なんですけども、販売させていただいたりですね。あと加工品を作ったり。あとは実際に農場に来てもらう。そのツアーも企画して、全国いろんなところで企画しています。本当にいろんなところに行っていまして、拠点は北海道、和歌山や高知。あと冬はですね、沖縄や奄美群島拠点に、いろんな地域で、農業の現場に関わっております。発信媒体はこのように、マイナビ農業ですとか、あとは農業新聞ですとか、そういったところで、コラムを書かせていただいております。あと伝える仕事もですね、講演会や学生向けのインターンシップ。あと大人向けの農業体験などの企画もしていまして、私は就農ではなくてまず農業への入り口を広げる、そういった取り組みをしております。はいそんな働き方もですね2年前に書籍化させていただいておりまして、こういった形にもなっております。

 最後なんですけども、私は農業をやる人を増やそうという動きもあるんですけども、まずはやっぱり知ってもらってとかまず一歩関わってもらう。そんな存在も必要なんじゃないかと思っておりまして、その関わる入り口を広げる役割があるのは、女性の方がと言ったらあれなんですけど、女性はそういったところに強みがあるんじゃないかなと、私は活動を通して感じております。そういったいろんな関わりを作れるのは、女性の役割なのではないかなと思っていますので、今日この後いろんな話があると思うんですけども、そういった話ができたらいいなと思っております。私からのお話は以上になります。ありがとうございました。

◆関根さん

 ありがとうございます。今まで半農半Xというのはありましたが、やはり経営をしていてプラス何かするというのが一般的な発想だったと思います。フリーランス農家というのは、本当に新しい第三の道というか、私も伺って目から鱗でした。ありがとうございます。

論点1 就農・営農支援と労働条件

◆関根さん

 それでは、今日の女性農業者というテーマの議論に、具体的に入っていきたいと思います。1点目として、新規就農とか、実際に営農をしていて、もっとこういう支援が女性に対してあったらいいのに、とかですね。例えば自治体や国、農業者団体等、誰がどういうふうに今後変わっていくと、もっと働きやすくなるとかですね。そういったようなことを、お一人ずつ、またご発言をいただければと思います。それでは、杵塚さんからお願いできますか。

◆杵塚さん

 はい、就農に関してなんですけれど、先ほど自己紹介で言ったように最初は親元就農だったんですね。そこからしばらく、しばらくといっても十何年、二十年近く働いていたんですけれど、その時に感じたのが、なかなか女性で認められるのが難しいなと思ったんですね。最初のうちはまだ若かった頃は、若かった頃と言うとだいぶ前ですけれど、ちゃんと自分が働いて、その畑での仕事だとか、あとは実際の作物とか畑の状態を見てもらえれば、地域から認められるというように思っていたんですね。でもやっぱり何年経っても、お手伝いとしか見られないというか、いまだについ昨年も稲刈りしてたら、近所のおじさんに、おう、手伝っているのか、偉いなみたな感じに言われて、二十何年やってもこれかっていうのは、それはもうどこに行ってもついてまることなのかなっていうのは、それは農業だけではなくて、日本の社会全体がそういう女性に対しての受け止めっていうのは、どの分野でもあると思うんです。そういった上で家族農業の課題の一つっていうのは、いかにジェンダー平等をちゃんと保障を勝ち取っていくかっていうことだとは思うんですけれど、2019年に自分が独立するっていう時にも、そういった意味で、パートナーとは別々の経営にしようということが一つと。やっぱり女性でもという言い方も本当にひどいことだと思うんですけど、女性もちゃんと自分で農業の形を決めて経営をできる。今はどうしても一つの作物を大規模化して、スマート農業化するという方向にどんどん進んでいるんですけど、そうではなくて、さっき言ったようにちぃっとらっつ農舎という屋号にしたのは、ある意味それとは違う方向に、でもちゃんと食べていけるんだよというのを、自分の農業のやり方で証明したいなというのがあって、今の形にしているというのが一つあるんですね。

 なかなかさっき小葉松さんの話でもあったんですけれど、窓口対応がひどいというのは、私個人的な経験ではなくても、友人の農家で神奈川出身の女性で、新規就農したお茶の子がいるんですけれど、その人が新規就農の補助金をもらいに窓口に行った時に、計画を出したんですよね5年の。そしたらまず言われたのが、この計画の中であなたがもし結婚したら、シングルの子だったんですけれど、結婚したらこの計画は大丈夫なのか、出産したらどうなるんだというのを言われて。それはもし男性にも聞いてるんだったらいいんですけれど、女性にしか聞かれないっていうことだとか。なので、そういった窓口だとか行政のことはもちろん改善しなければいけないなっていうのと。あとはやっぱり産休育休制というのも、農業で独立していく上ではすごくネックになっていて、私自身も子どもが3人いてなかなか育てながらやっていくっていうのが出産の時の産休。幸いすごく元気だったので、出産直前まで仕事ができたっていうところはあるんですけれど、必ずしも全ての女性がそうではないっていうことと、あとはまた逆に産んでしまってからの方が大変で、保育園に入るまでの期間をどうするのか、第1子の時は。第2子の場合は生まれてから、第1子がもうすでに保育園に入ってたんですけれど、8週間までは就労実態がなくても、一番上の子は保育園に入れるんですね。でも9週目から仕事復帰しないと、時間が短くなるもしくは就労実態がないと、保育園から退園のリスクがあったんですね。それぐらいに生まれてからも結構大変で、もちろん保証がないので農業の場合、ちゃんと農業にすぐに戻らないと、すぐに作物が作れないと、その年ももちろんですけど、その翌年も経営的に響いてくるという、そういう難しさがあって。

 私の場合は友人とかに頼んで、ベビーシッターをしてもらったり、あとは大変でも子どもを抱えて、畑まで何とか連れて行って、そこでだましだまし仕事をしたりとか、そういったこともやらなければいけなかったというのが、なかなか大変だったところですね。以上です。

◆関根さん

 ありがとうございます。やっぱり産休・育休のところと、自治体の窓口対応の改善、意識改革というところも含めて重要ですね。あと、社会全体で変わらなければならないということですね。ありがとうございます。では、鴫谷さんお願いします。

◆鴫谷さん

 実は私はそこまで女性だから、就農時に苦労したっていうのが正直あまりないんですね。私、就農しました時に当時の青年就農給付金って言うんですかね、今、農業次世代人材何とかっていう補助金に多分変わってると思うんですけれども、それの夫婦型というものを取得して就農したんですけれども、その時に夫婦型ですと青年就農給付金、当時のものですと、1人当たり最大150万かな年間でいただけて、夫婦型になると私2人分になるんだろうと思ったんですけれども、それが1.5人分だと言われて、この0.5ってのが私のことなのかなっていうので、ちょっともやもやしたっていうのがあったくらいなんですね。

 実際に農業をしている中では、正直に重たいっていうのが、今の女性農家にとって、結構大変なのかなと思っていて。米袋1袋30キロ。持てなくはないんですけれども、非常にツルツルとした持ちにくい紙質で、あれを何十袋も運ぶとかいうと、ちょっと気持ち的に、うーんってなるんですよね、腰にもきますし。ただこれは女性だけの問題じゃなくて、私が就農した当時10年ほど前ですかね、には地域のお父さん方みんな、割と軽く持ってたんですけれども、今70代後半80代になってきて、今度はその方々すらもやっぱり持てなくなってきている。肥料とかもそうですよね、全て重たいというのがあって、それは最初私就農した当時は、女性で力がないからと思っていたんですけれども、やっぱり全体で男性でも持てなくなってくるということも、当然考えておかなくちゃいけなくて。誰にとっても持ちやすいような規格というのが、必要になってくるのかなというのはちょっと思ったんですね。

 あと私自身はそういったあまり就農時に苦労というのが、あまりなかったんですけれども、少し上の方々の話を聞くと、やはりいろいろ教えてもらえないとか、相手にされないというのはたくさん話を聞いたことがあって。ただ私の時にはそれがあまり感じられなかったんですね。

 あとは普及センターとかが一生懸命、女性のエンパワーメントと言うんでしょうかね。そういうのをおそらく考えてのことだと思うんですけれども、いろんな講習会に行ったり、視察旅行だとかをやってくださって、新規就農当時は私も何回か参加したんですね。ところが行ってみて、正直言うとちょっと話が合わなかったというか、上越地域の広く女性方に声をかけてきたんですけれども、あまりに環境が違いすぎて。私なんか山でほんと細々と農業をやっているのに対して、上越地域平場ですと皆さん大体30ヘクタールとか、非常に規模の大きい農業を展開していて、やはり男性が中心だったり、あるいは雇用をしていたりっていう人がほとんどだったんですね。その中で全然私の小さな農業っていうのが、話が合わなくて、なかなかそこで女性同士意見交換っていうのも、合わなくて、だんだん足が遠くなってしまったっていうのがあるんですけれども、やはり場所だとか、環境を少し考えた情報交換のあり方っていうのは、必要なのかなとは思いましたね。

◆関根さん

 ありがとうございます。本当に、青年就農給付金の夫婦型にも制度化されたジェンダーバイアスのようなところがあるということですね。それから、やっぱり重いものを持つっていうのは、女性だけでなく、男性でも高齢化すると難しいということで、ユニバーサルに誰でも、例えば障害のある人も含めて、関われる農業のあり方に変わっていく必要もあるのだと思いました。あと普及所の方のエンパワーメントについて、農業女子プロジェクトとか、いろいろ国の政策もありますが、やっぱりどうしても目指している方向が大規模化とか、スマート化とか、輸出とかになっていて、そういうところで「女性ならではの感性を発揮しましょう」という誘導が結構あるのかなと感じました。やはり、日比さんの基調講演でもありましたが、多様な農業、気候変動にも対応できるようなアグロエコロジーとか、有機とかですね、そういうところにもちゃんと対応していく必要があると思いながら伺いました。ありがとうございます。それでは小葉松さんお願いします。

◆小松葉さん

 はい、ありがとうございます。先ほどの自己紹介からもちょっと延長の話にもなるんですけど、やっぱりちょっと女性一人で就農するっていうのは、すごく窓口からしてすごいハードルがあるなっていうのを、本当に心が折れると言いますか、何回も言っても何回も同じ切り返しで、私もちょっと心が折れたこともありますし。あとはですね、そこを突破して、女性一人で新規就農した先輩方もいるんですけど、まあでもやっぱり相当ハートが強いというか、心が強くないと難しいんだなっていうか、もうそれくらい強くないと、一人で就農するのは難しいんだなっていうのをですね、自身と周りの経験から思って感じてます。

 ちょっとマイナスの話だったんですけど、ここからちょっと明るい話と言いますか、先ほど講演の中でもですね、農業の現場は男性の割合が多いけれども、現場以外での女性の関わり方は、ちょっと多いよみたいな話があったと思うんですけども、そこは私もすごい感じてまして、例えばフリーランスで農家さんのところにお手伝いに行ったら、実は今度直売所を立ち上げるんだけど、俺たち男性だからどういう商品がいいのかとか、デザインとかテンプについてのことが、俺たち男性で分かんないから、小葉ちゃん得意そうだからやってよみたいな感じで、発信とか伝えるっていう部分で、すごい頼りと言いますか男性にはない部分で、力が発揮できるのかなっていうのをすごい感じてまして。そこで実際に現場も一緒にお手伝いして、どういうものが作れるかとか、現場も理解しつつ加工品とかデザインっていうのも、実際作らせていただいて。そこに実際お客さんが来て、商品を知ってもらうっていう、そういった経験もありますので、そういったですね。現場以外でのところで、女性が関わったりですとか、農業に興味がある女性が関わったりとか、力を発揮できるっていうところも、農業現場以外のスポットも、もうちょっと出てきたりとか、選択肢として出てきたりですとか、スポットが当たるようなことがあってもいいのかなって思うんですよね。農業=現場で働くみたいなところが結構多いなと思ってて、それにつなぐ役割も、もっと出てきたらいいのかなと思ってますね。

 あとですね、私も結構本当に日本全国、何百軒以上の農家さんに行ってるにもかかわらず、やっぱまだ緊張するんですよね、初めての農家さんに行くのって。その理由がやっぱり地域現場で働いてるのって、男性が多いからかなと思うんですよね。なので、そういった入り口とかつなぐ役割、地域の入り口に女性がいたりするのは、行く側も行きやすかったりとか、安心するのかなっていうのも思いますね。あとなんか自覚はなかったんですけど、いろんなところに取材とか行かせてもらって、いろんなお話聞かせてもらえるんですけど、こういう働き方してますっていろんな人に言ったら、きっとやっぱり男性、農業者の方は男性で、女性が言ったら結構話しやすいのかもねみたいな。男性同士だったら話せないことも、女性だから本音で、いろんなお話を話してくれるのかもねっていうことも聞いて、そういった部分でも、やっぱり女性が現場に入ってお話を聞いて。例えば記事とかSNSで発信していくっていう役割はやりやすいのかなっていう、私自身の経験を通して感じてます。ちょっと断片的なんですけど、こういったところで、私のお話以上になります。

◆関根さん

 ありがとうございます。結構そうですよね。生産現場を男性がやっていて、販売を女性がやってるケースは、海外でも聞きます。漁業等もそうですね。国連は「ジェンダー・センシティブ・サプライチェーン」と呼んでいて、女性が関わっている食料生産・流通・供給に対する色々なジェンダーバイアスを解消していくことで、食料の提供や環境問題を変えていくというアプローチをしていますね。あとやっぱり地域の顔利き役というか、つなぎ役みたいな形で、女性のお世話役的な方がいらっしゃると、女性の新規就農のハードルがすごく下がるいう点ですね。私もそういう方がいらっしゃる地域を知ってるので、ああなるほどなと思って伺いました。ありがとうございます。

論点2 家庭と地域におけるジェンダー

◆関根さん

 パネリストの方々がお互いに、今の点で、何か質問とかコメントなどがありますか。よろしければ、家庭(イエ)と地域(ムラ)におけるジェンダーということで、次のテーマに移っていきたいと思います。これは、経営とか就農とも非常に密接に関わっている問題だと思いますので、そこと絡めながら、またご発言いただければと思います。では、杵塚さんからお願いします。

◆杵塚さん

 はい、さっき紹介したように私自身、この藤枝市というところで生まれ育って、また戻ってきて農業を長いことやってるんですけど、いまだにカルチャーショックを受けるんですね。一度海外とか他の場所を見ていると、だんだんジェンダーが平等になってきてるなって、日本社会もちろんジェンダーギャップ指数はあれなんですけど、っていう中で周りの人たちもそういう人に囲まれながら生きていて。でも時々自治体っていうか町内会だとか、そういったところの集まりであったりだとか、そういうところに行くとすごくカルチャーショックを受けて帰ってくるということがあって。去年、町内会の組長をやったんですね。普通関連的に男性が組長になって、特に夫婦がいたらやるんですけど、私が行ったらなんで男が出てこないんだみたいなことを直接言われたりだとか、あとは女衆でもやれる仕事割り振っといたからな、みたいな感じで言われたりだとか、すごくいろんな感じでショックを受けながら、これを変えていかなきゃいけないんだなとは思いながらやっています。そういう中でやっぱり農村の問題っていうのは、日本社会全体の問題もすごく表していると思っていて。特に最近地方女子プロジェクトだとか、地方女子がいかに農村から流出しているのかっていう統計もありますよね。人口の流動で、女性の方がどんどん都市に男性以上に移って、しかも戻ってこないという統計があったりだとか、それはやっぱり女性の農村での生きづらさを如実に表していることでもあると思いますし、あとはなかなか女性が農業を職業として思い描けいないというのも、そういうところに一つあると思っていて、やっぱりイメージだけじゃなくて、実際に女性が補助的にしか扱われない。

 主体的に働けないとか、逆に主体性を発揮すると、なんてわがままなんだみたいな感じで、語られるということもあって。やっぱりそういうところの、ジェンダー規範的なところを地域でも、もちろん家庭でも変えていかないと、なかなか農村も変わらないし。あとはよく女性のこういった参画なんかの話をすると、すぐに少子化ともつびつけられるんですけれど。やっぱりそこにも研究がちゃんとされていて最近読んで面白かったのが、シカゴ大学の山口和男先生という教授が、男女平等と少子化ということで研究されていて、実際には夫婦間であっても、性別役割分業で、家事は女の人、仕事は男の人というのをきっちり分けている方が、少子化が今の時代はどんどん進んでいる。女性が子供をもっと持っていようと思わないだとか、これ以上仕事しながら家事もやって、さらに子供というのは無理と思ってしまうこともあったりして。逆に男女がちゃんと役割を、役割をというかお互いに協力しながら家事も進めるし、仕事も一緒にやっていくという関係にある方が、子供は何人か持つという傾向があるという研究がされていて、なるほどなと思うんですね。そういったことも語られないじゃないですか。一般的にはやっぱり女が社会に出てきたから、少子化なんだという。短絡的な結びつけ方がされていて、実はそうじゃないんだよというところを、ちゃんと解きほぐしていく。それを女の人たちも、割とそういったものを内面化してしまうところがあるので、そうではなくて、ちゃんと家庭の中では、夫婦で話し合って。うちもそうですけれど、何年も長いこといると、最初の頃はすごくバチバチしていることもあったんですけれど、ちゃんと話し合っていく上で、お互いに尊重し合う関係というか、仕事の面でもそうですし、子育ての面だとか家事のこととか、いろいろ面倒くさいことを、じゃあどっちがやるんだっていうことを一つ一つ話し合って。その上で去年は町内会の役員は、私がやるっていうことになったり、そういったことも地域の人たちに見てもらって、こういうあり方もあるんだよっていうことを、少しずつ一歩ずつ進んでいるっていう感じですね。

◆関根さん

 ありがとうございます。おそらく「消滅可能性自治体」の統計のことですよね。若い女性の流出で地方の少子高齢化が止まらないという問題を明らかにしました。本当に根強い規範意識みたいなものが、日本では都市部でもまだまだあると思いますが、私も高知県の中山間地域で育ったので、地方に行くとさらにそれが強いことをすごく感じています。少子高齢化の問題は、農業分野でも日本社会全体でも本当に深刻な問題なので、そこを変えていかないと農業の未来を展望できないというのは、いつも杵塚さんおっしゃっているので、その通りだなと思いながら伺いました。ありがとうございます。では次、鴫谷さんお願いいたします。

◆鴫谷さん

 はい、私神戸から新潟に移住してくる時に、おそらくこの新潟の山の中っていうのは、非常に保守的なんだろうと思っていたんですね。そういう扱いを受けるだろうというふうに思ってきてみたら、意外とこの集落だったり、地域の方から女がっていうような言い方とかはされたことが、実際に本当にないんですよ。自分の中でも非常に驚きだったんですけども、それで、なんて言うんでしょうかね、皆さんやっぱり、頭では分かってるんですよね。女性を大切にしなくちゃいけないだとか、あるいは何かしたことがハラスメントにあたるだとか、今こういうこと言っちゃいけないよねとか、いろいろみんな頭では分かってるんですよ。ところがそれが身についていないっていうんでしょうかね。なので移住者の私に対してそれを直接的に言ってはいけないという良識が皆さんおありになるんですね。なので直接的に言われたことは私は実はないんですね。

 ところがこの間ちょっと今回のシンポジウムに関して、夫とこういうのがテーマになってるんだよとかいうので話をしていたら、ぽそりと夫の方がですね、なんか村の寄り合いに出かけて、その後普通は一杯飲んで一杯会をして帰るというのがあるんですけれども、その時に、俺この後、子供を風呂に入れなくちゃいけないから帰りますわって言ったそうなんですね。そしたら村の寄り合いに出てきてるのは大体お父さん方なんですけども、その人たちがえ?って。そんなの母ちゃんにも任せとけやって言ったらしいんですけれども、夫が何て言って断ったかは知りませんけれども、我が家の中では彼がお風呂に入れるということになっていたので、帰ってきたんですよね。

 やっぱり頭では分かっているけれども、実際にそういうことが行われると、ちょっと何っていう混乱は、すごく村の人の中にあるなと思っていて、例えば農業機械なんかも、今あまり使われていないと思うんですけど、かつて袋取りのコンバインというのが使われていて、中山間地域だとまだ現役だったりもするんですけれども、袋取りの袋にお米を入れるタイプですね。袋を取るのは力持ちの男性の方がいいんじゃないかと思うんですけれども、なぜか機械に乗っているのは、お父さんが乗ってふんぞり返っていて、その袋がいっぱいになると、お母さんが必死になってこれを下ろして、軽トラまで運んでっていうのを永遠にやってるんですよね。我が家も最初袋取りを少し、貸していただいていた時期があって。我が家では当然私が機械に乗って、夫が袋を取るという。その方が作業効率がいいということなんですけれども、そうやってやっていたんですよ。そうすると結構みんな見ているんですよね、村の人たちは。おお乗ってんなとか言うくらいで、そこに何かいちゃもんをつけてくるってこともないんですけれども、でもやっぱり自分のお家に帰ると、自分が機械に乗って奥さんに袋を取らせてるとか、田植えの時なんかもお父さんが機械に乗って、苗をセットしたりして走り回ってるのがお母さんっていうのが大概なんですけれども。それ逆の方が効率的にはいいと思うんですけれども、そうはならないんですね。かといって私に対して何か嫌がらせをするとか、そういうこともないんですけれども、頭でわかってるけどできないっていう。まだ本当に染み付いちゃってるっていう感じですよね。

 ただ私、集落の会計をやったりだとか、あるいは地域の監事というのをやったりしてるんですけれども、これはもう人がいないから、ならざるを得ないっていうことなんですね。

本当にできる人がいなくなってしまって、できる人間を充ててったら、こういうメンツになったという感じなんですけれども。非常に人口減少が進みすぎていて、とにかくいる人材を使わなくちゃいけないという状況に地域全体が陥っているんですよ。そうなってきた時に、頭でわかっているけど、自分たちでジェンダーの平等というのができなくても、やっぱりそういう地域として回していくには、ジェンダーの問題を平等に取り扱わなくちゃいけないというふうな行動になっていくんですよね。地域全体で、やはりこの地域、今の人数だと維持ができないということで、移住者を呼ぼうということをずっとやっているんです。そうなってきた時に、いろんな方々が来て、定住した方、定住されなかった方がいらっしゃるんですけれども。いちいち女性だからお茶くめとか、お酒ついで回れとか言ってたら、だんだん嫌がられるんだなっていうのが経験として積み上がっていくんですよね。そうするとやっぱり遠慮するようになってくるというか、何か目的があるので、それを達成するためにはやっぱりこうしなくちゃいけないんだなっていうのを学び始めているのかなという状況に今地域全体があって。

 そういう意味でいろんな多様な方が来られるだとか、女性の農家っていうのは非常に少ない、この地域では少ないんですけれども、そういった方が営農するということで、そういう方がポコポコ出てくると、みんなマークしきれないっていうんですかね。私、新規移住してきた当初すごくよく見られるんですよ。あいつ何やってるんだと、何時何分頃に夕方電気がついたぞとか、今日一日クルマがいなかったとか、こと細かに見てるんですよね。ところがですね、その後に地域おこし協力隊として呼ばれてやってきて、定住してきた人がいたり、何組かいるんですけれども、そういう新しい移住者が出てきて、その人たちがまた勝手に好きなことをやるんですね。そうすると、私たちがいて、そういう新しくやってきた人たちがいてっていくと、見切れないって言うんですかね。マークしきれなくなっちゃって、だんだん村の人たちがわけがわからなくなっていくっていうのが見えるんですよ。おかしいんですよこっちからすると。なので本当にそういう感じでいろんな多様な人たちが、女性問わず男性でもいいと思うんですけれども、いろんな農業者が農村にやってきて、いろんな農業を展開していくと、何が常識か分からなくなってきちゃって、受け入れざるを得ないっていう感じになるんじゃないかなと思っていて。

 なのである意味、今の人口減少していく村っていうのは、非常にチャンスなんじゃないかなと。入りやすい。かつてはおそらくものすごく家父長的な要素が強くて、それこそ女性の意見っていうのが非常に通りにくかったのかなっていうのは想像に難くないんですけれども、今逆に減ってきて。そしてかつですね、やはり男性の方が、寿命の問題もあると思うんですけど、亡くなるのが早いんですよね、当地域では。それでお母さん一人残られたっていう方が、何人かいらっしゃるんですけど、割に元気なんですよ。ところが逆に男性一人残られた方が、その後バタバタと亡くなられたりしていて。なんでしょうね、いろんな方が本当に入ってきて、いろんなことができるチャンスが、今のこの人口減少した農村なのかなというふうに今見ています。ちょっと話があちこち行きましたけれども。

◆関根さん

 いえいえ、大変興味深いです。地域によって本当にいろいろな違いや多様性も出てきているんですね。鴫谷さんのいらっしゃる地域は、すごく開けてきたというか、そういう希望が持てるお話で、ありがとうございます。小葉松さん、いかがでしょうか。お願いいたします。

◆小葉松さん

 ありがとうございます。鴫谷さんの話で共感する部分がすごい多かったんですけど、私のほうが農家の奥さんというか、農業従事者の女性の負担って、男性より多くない?っていうのを、結構現場で見てきまして。それこそさっきもあったんですけど、男性は機械に乗って、結構女性が細々と後ろで、それこそ苗の補充とか細々、いろんな作業をしてるなっていうのも、現場で結構体を動かして頑張ってるのも、あれ女性だなって思いましたし。あとはアルバイトの、例えば農家さんで受け入れる、アルバイトさんの管理・調整とかも女性じゃないですか、やりとりとか。お金の計算も女性だし、当日の現場の作業を調整するのも、結構お母さんだったりするし、現場でも役割多いなと思って。そしたら3時とか午後になったら、子供の迎えに行ってくるって、途中で抜けたりとか、夕方になったらご飯作りに帰ったりとか、家庭も全部お母さんやるんだって思ったら、だいぶ負担多いな女性のっていうのを結構見てきて。そこも結構男女の役割っていうか、固く残ってるなっていうのもいろんなところで見てきましたし。

 あとそうですね、ちょっと話し、合うかもしれないんですけど、結構、農業の会議とか意見交換会というか、集まりはやっぱり男性がほとんどですよね。私もいろんなところ行って、女性の農業者と出会う機会って本当に一握りだなって思ってて。その男性だけが集まってる中で、若い農業者、若い人どうやって呼ぼうかとか、女性どうやって来てもらおうみたいなことを、男性とかおじさんばっかりで話してて、いやそれは来ないよなと思って。すいません失礼になっちゃうかもしれないですけど、やっぱそういう意見交換とかアイディア出しのところにこそ、地域の女性の意見、女性も出てきてほしいなって思いますし。

 さっき鴫谷さんの話にもあったんですけど、私も地域おこし協力隊とか地域にガッツリいた時あったんですけど、それこそ昨日あそこにいたよねとか、あの時間ここにいたよねって言われて、怖いじゃないですか移住者からしたら、ほっといてほしいなみたいな。なんで新しい人を受け入れたいとか呼びたいっていう思いがあるのならって言ったらあれですけど、どう受け入れる体制作りというか。そういうのも必要だなと思っていて。例えば都会の女性とかと、意見交換会をするとか、どうやったらこの地域に来てもらえるかとか、来たくなるかっていうのを、本当に実際の女性とか若者と、その地域の人たちでするっていう、そういったすり合わせとかも、ジェンダーと言いますか、女性を呼び込んでとか、若い人に来てもらう地域づくりの受け皿を作るためには、ちょっと必要なんじゃないかなって思っております。ちょっと短いんですけど、私からはこんぐらいになります。

◆関根さん

 ありがとうございます。機械のお話は鴫谷さんもされていましたね。私がよく聞くのは、男性が操縦する機械の周りで女性が作業をすることで、女性が事故に巻き込まれることがすごく多いそうです。農業は、統計的に他産業よりも作業中の死亡事故率が高いので、やはり安全面のハードルを下げるために見直さないといけないことがいっぱいあるのだなと思いました。あと、私も農業関係の学習会等で講師に呼んでいただいて行くと、聞きに来てくださる方の99%位が男性ということが多いです。土日の昼間に集まっていただくとなると、やっぱり家に残って家事、育児、介護、農業をしてるのは女性ということがすごく多いです。本当に根深いというか、どこから変えていくかというのは大きな課題だと思いますので、こうした課題に関する意見交換会を、ぜひ各地で、全ての集落でやったほうがいいんじゃないかと思うようなご提案でした。ありがとうございます。

コメント:農村女性の実態と制度課題(満川暁代さん)

◆関根さん

 まだまだ続けたいのですが、ちょっと時間が押していますので、また後でご発言の時間がありますので、いったんここで、農民連女性部の事務局長をされています満川暁代さんから、今までのディスカッションを踏まえた上で、農村女性のアンケート等について、5分ほどお話をいただければと思います。満川さん、お願いいたします。

◆満川さん

 はい、よろしくお願いします。農民連女性部の事務局長をしている満川と申します。今日は農民連女性部の活動報告を兼ねて、今出てきた問題というか話題に、コメントをさせていただきたいと思います。

 農民連女性部では、おととしですね。2024年の10月に、国連の女性差別撤廃委員会というのがあるんですけれども、その第9次の日本報告審議というのが国連で行われました。この女性差別撤廃委員会の、報告審議はすごく重要で、例えば過去に男女雇用均等法は、この女性差別撤廃条約に加盟するときに整備された法律ですし、それからDV防止法だったりとか、日本の中でジェンダー平等について重要な法律が通るきっかけになってきたのは、この国連の女性差別撤廃委員会の勧告が大きな力になって、ジェンダー平等が日本の中でも、多少は具体的なところで進められてきたんですけれども、この報告審議が8年ぶりにおととし行われまして、これにちゃんと日本のジェンダー平等の状況を、ちゃんと反映されたものが出されるようにということで、NGOがみんなでネットワークを作りまして、リポートをまとめたりですとか、それからCEDAWの審議がスイスで行われたんですけれども、ジュネーブにロビー活動に代表団を派遣するとか、そういったことを取り組んでいまして、そのNGOの代表団の一員として、農民連もこのCEDAWの、CEDAWって国連女性差別撤廃委員会(Convention on the Elimination of all forms of Discrimination Against Women)の略称CEDAWと言うんですけれども、そこに取り組んだりしています。

 その中でこの間ずっとCEDAWの中で、いろんな労働だったりいろんな分野で、女性のジェンダー平等の問題が指摘されているんですけれども、農村女性という項目があって、その中でずっと指摘されている問題が、日本では所得税法56条というものがあって、所得税法の中の56条が、家族の中の女性だけじゃなくて、家族労働者、後継者なんかもそれになるんですけれども、の労賃ですね。それをちゃんと経費として認めないということが含まれていまして、これも要するに家父長制の名残なんですね。農家の稼ぎは全部お父さんのものというのが基本で、お母さん女性だったり、後継者だったりの働きは、全部お父さんのものとして見るという、そういう制度になっていて。やはりこれは廃止すべきだというのを、ずっと言ってまして、CEDAWの方でもこれを廃止すべきという勧告が出されています。それから今回もそうなんですけれども、やはり先ほど杵塚さんのほうから出てましたけれども、国の保険制度の国保の中にですね、休業保障というのが認められていないんですね。なので、女性の、例えばこういう自営業者の、これ農家だけではないんですけれども、産休も認められていないし、それから怪我をした時の休業保障なんて認められていないということで、非常に女性のジェンダー平等に影響しているということで、この問題というのが指摘されていて、私たちもこれをずっとするべきだという風に言って取り組んでいます。

 そのCEDAWに向けてレポートなんかをまとめるということで、農民連女性部ではこれに向けて、ジェンダー平等に関するアンケートを全国の女性に取りました。630人の女性から回答を得たんですけれども、非常に興味深い中身の回答が得られました。この中では例えば労働時間だとか収入だとか、それから家事の時間だとか休みだとか、かなり広範な中身を聞いたんですけれども、このアンケートで上がってきた結果の中で、大きな柱としてはこの数年間の間で農業収入が減っているという問題。それから農家の女性たちはものすごく長時間労働だということなんです。特に女性の場合には先ほどからもありますように、家事労働時間も非常に長いんですね。聞いた結果の中の大体8時間以上。まず労働時間が8時間以上だという回答が大体半分でしたし、それから15時間16時間18時間という回答もあったりして、16.7%の女性が10時間以上働いている。農作業の時間ですよ、働いているというような回答がありました。

 それから家事労働時間もすごく女性は長くて、大体1日4時間ぐらいしているというような回答もかなりありました。一方で夫の家事労働時間というのも聞いたんですけれども、1時間以下という1日の家事労働時間、1時間以下という回答が約7割でした。夫の家事の休日というのも聞いているんですけれども、全くしないという回答も結構あって。非常に家事労働については、女性の方にかかっているというのが、明らかになってきています。それからもう一つですね。農産物価格が下がっていることで、大規模化していて、女性が非常に長く働くようになっていると。特に若い世代ほど大規模化の中で、大規模化して何とか生活を守ろうということで、若い女性ほど長時間労働になっているというのも、顕著になっていたと思います。回答数としては、若い女性の回答数は少なかったんですけれども、若い女性であっても、健康の問題を指摘する女性というのは、すごく多かったです。

 そういう中で今年ですね、ちょっと話がなかなか恐縮なんですが、今年、日本政府が第6次男女共同参画基本計画というのを、日本政府が定めています。本当はこのCEDAWの勧告を反映した、男女共同参画の基本計画であるべきなんですけれども、そうはなっていなくてですね。CEDAWの中では例えば社会的な地位。社会的なというか、要職に就く女性の割合ですとか政治家の割合ですとか議員の割合ですとか、そういうのを全てとにかく男女同数を目指そうということを、この施策では決めてまして、日本もそれは締約国なので、守らなきゃいけないという義務も追っているわけなんですけれども、全然そうは、基本計画ですらそういう内容になってないです。それから先ほどから、農水省の新規就農の中で、女性の不利な話がありましたけれども、農水省でも基本計画を定めていて、その中に女性の男女共同参画というのを含めているんですけれども、女性参画というのを含めているんですけれども、農水省ってあくまで今でも、ジェンダー平等という言葉は使わないんですね。その中身というのは、女性の補助的役割を、前提とする傾向が今でも続いてまして、いまだに女性らしさの強調みたいなものが、いまだに政策の中では生きているという状況になってます。

 もう一つあるのが、意識改善、意識の問題に帰結するというところがあって、例えば社会制度だったりとか、具体的に改善できるところがあるにも関わらず、新規就農制度なんかもまさしくその一つだと思うんですけども、そこでの制度的な男女平等を実現していけるところがあるにもかかわらず、そこには手を付けないで、意識の問題にすり替えるという、日本の農政でもそうなっていますし、それから政府の第6次男女共同参画でもこれを追認する内容になっていまして、私たちその中で家庭の平等だったり、農村でのジェンダー平等をしていく上で、農業委員、農協役員、土地改良区だったりとか、そういう要職に女性がちゃんと入っていくということが、非常に実質的に動かしていく上で、一番重要なところだと思っているんですけれども、そこの目標が農業委員だと3割しか、パリテ、男女同数ではなく、農業委員は目標として30%しか掲げられていなくて、実態としては今15%もいないという状況ですし、農協役員も目標20%になっていて、1割強しか農協役員の女性の割合というのはないです。土地改良区なんかも本当に2.6%しか女性の役員の割合って今現在ないんですよね。それを具体的に上げていくということが必要なんだけれども、女性が忙しすぎる中で、社会的活動に参加する時間もないという。そういう状況なんかもあるんですけども、調査なんか全くされていないという中で、ちゃんと調査すべきだということを、農水省の方には、農民連女性部としては求めているところです。すいませんちょっと長くなってしまいました。申し訳ありません。

全体討論・まとめ

◆関根さん

 ありがとうございます。本当に充実した内容で、もっと長く元から時間を充てていれば良かったと思って伺ってました。本当に今の日本の制度、農業・農村だけではなく、社会全体の問題ですが、やはり特に農業・農村女性の格差は大きいですね。それは「意識改善しましょう」と口で言うだけでは変わらない部分が非常に多いので、やはり法律、所得税法や制度を、パリテやアファーマティブ・アクション等を通じて女性の割合を半分まで増やしていくことも重要なんですね。よく「3割がクリティカル・マス(影響力を与えられる最低限の割合)だ」と言われたりしますが、それだけでは不十分で、やっぱり男女半々ずついるんだから、女性割合を半数に持っていきましょうというのも本当に必要なことだなと、伺って思いました。日本は男女別の家事労働、育児・介護等も含めて、男女の違いがすごくある国だというのは、統計でも出ていますが、それを特に農業・農村女性の実態として、アンケートで明らかにされたというのは、非常に貴重なデータなのではないか思います。ありがとうございます。

そうしましたら、時間が少なくなって申し訳ないのですが、一般の参加者の方、本日はオンラインで45名ほどご参加いただいておりますので、今日のここまでの基調講演、ディスカッション、コメントについて、皆さんの方からご質問やコメント等がもしありましたら、チャットにお書き込みいただけるでしょうか。あるいは、挙手マークを上げていただいて、マイクとカメラをオンにしてお話いただいてもかまいません。いかがでしょうか。

 なかなかすぐには出ないかもしれないので、また何かありましたらチャットに書いていただくことにしましょう。

それでは、パネリストの皆さん。今の満川さんのコメントも伺った上で、これまでのディスカッションも含めて、最後に15分ほど時間を取って、お話をしていきたいと思いますが、いかがでしょうか。杵塚さん、いかがですか。

◆杵塚さん

 今後どうしていくのかというところもあると思うんですけれど、やっぱり女性が今現在の状況から改善していくためには、ちゃんと女性に対してのアクセスを保障していく。制度の上でもそうなんですけれど、必要があると思うんですね。土地の所有なんかにしても、今のところ特に男性に偏っているというところもあるし。やっぱり実際に農業をやっていると、女性の方に話が来ないんですね。土地に関して、農地があったとしても耕作放棄されてたり、今後継続できないよという話も、大体男性の方に行く。そういったものをもうちょっと制度的なところで、女性でもちゃんとアクセスできるような形だったり、情報がもらえるような形だったり。あとはそういった意味でも地方の村の町内会だとか、そういった中で割と情報交換が行われることがあるので、これまではやっぱりそういうところがほとんどが男性で占められていたところに、ちゃんと女性も入っていくということで、その地域の中の情報を交換できるということにもなるし。

 あとはやっぱり学習の機会というのもすごく重要だと思っていて。いくつか農業関係ので読んだ本なんかでも、女性たちが今までの農業からすごく目を開かされた経験というのは、他の地域の女性たちの活動であったり、農業全般のことだったり、機械のオペレーションの仕方であったりだとか、そういったことを知ることで、もっと男性と対等なところで、やっぱり機械を操れるか操れないかというところで、すごく力関係ができてしまうと思うんですね。機械をちゃんと操縦、だってクルマ運転できるのに、コンバインだとか、運転できないことはないと私は思っていて。免許をちゃんと運転免許を取れるぐらいの能力がある女性なのに、なぜその農業機械が操れないのかというのを、もしそれが操れないんだとしたら、農業機械メーカーの問題だと思っているので、ちゃんと女性にもそういったものに、学びの機会を得る。

 あとは今の在り方が、当り前じゃないんだというのを知るには、本当に海外の事例も含めて、フランスの産休育休制度もそうですけど、今までは私はこんなもんだと思って何とか子供を育ててきたんですけれども、それをもっと5年前、10年前に知っていたら、もっと違ったのかなというように思いますし、やっぱりそこに女性の声が入るということで、制度的にも変わっていく面もあると思うので、さっきの満川さんのパリテの話もそうですけれど。まずは地域の組織自治体のものも含めて、いろんなところで女性が少なくとも半数が入るように、働きかけていくとか、やっぱりそうなってくると、家事の分担とか長時間労働の問題とかもあるので、本当に一つのところを解決して、全てが良くなるってことはないので、ちゃんとそういうところを女性自身も含めて、男性とも共有していくっていうことも大事だなと思って。なかなかこれが解だというかはないんですけれど、すごく今回考えさせられる会だったと思います。

◆関根さん

 ありがとうございます。機械メーカーによると、やはり農業機械は男性が操縦することを前提として設計されているそうです。いろいろな部品の位置、ハンドルとクラッチ、アクセル、ブレーキの位置等が遠くなっているので、多くの女性には身長の関係で運転しにくいそうです。やはり、そこも女性が運転する可能性があること前提に、椅子の位置をもっとずらせるように、最近は少しずつ取り組まれ始めているというニュースを見ました。ただ、女性も運転する可能性があるということに、メーカー側が気づき始めたのは、つい最近というか、この数年みたいなので、本当にまだまだ変わっていかないといけないですね。また、情報発信も重要ですね。女性が「もっとこうしたい」「ここがやりにくい」「こうだったらいいのに」というようなことを意識化して、共有して、要望として声を上げていく機会をつくる必要がありますね。

 フランスの産休・育休の獲得・延長を見ていると、組織的な動きもとても重要だと感じます。フランスでは1970年代から女性農業従事者の産休・育休制度があったというのは、私も杵塚さんのご提案で調べてみて初めて分かったときに衝撃を受けました。これは非常に重要かことだと、今日改めて思いました。逆に、日本ではさまざまな組織で女性の割合を高めても、形式的になってしまっている場合もあります。女性役員の頭数だけ増やせばよいと思われているので、女性役員は男性から「あなたは会議でただ座っていればいい。発言はしなくていいから。」と言われたりしています。日本ではそういう形式的なところがまだまだあると思うので、そこも含めて変わっていかないといけないし、教育面もとても大事だなと思って伺いました。ありがとうございます。鴫谷さんいかがでしょうか。

◆鴫谷さん

 私も育休産休という制度を、頭から欠落していたというか、へーという思いで聞きました。それから先ほどのまとめのところでですね。大規模を目指さないといった私たちにとって、大規模化したので長時間労働が特に女性で増えたというコメントがあったかと思うんですけど、これは私たちもしっかり守って、この言葉を伝えていきたいなと思いました。

 それでそうですね。今現在、私の地域に同い年という方はいないんですけれども、女性農家はいて、その方々と情報交換というのはできるんですね。というかむしろ、私の何十年か先の姿を見せてくれていて、こういう風になっていくのかという参考になるんですよ。ところが彼らがもしこの後、亡くなっていってしまった後になると、女性農業者と話す機会というのは、ぐんと減ってしまうなというのが、最近自分の中の危機感の一つでもあるんですけれども。やはりそういう女性、本当にくだらない話とか、お父さん方の文句だとか、そういうことも女性同士で話したりしますよね。そういった本当にくだらないことだとか、例えば体調面のことだとか、そういったことで話せる人が、まだ身近にいるという環境はありがたくて。この後もこういう環境を、やはりいろんな意味で情報交換という意味で、保ち続けたいという意味で、女性の農業者だったり、移住者そして何らかの形で農業に関わって、移住してきてくれる人っていうのを増やしていかなくちゃな、というのは今自分の中の本当に強い思いですね。

 実は私一度だけ、上越市が地域の未来を作るために未来会議、各地区で未来会議というものを、やったことがあるんですよね。参加者っていうのは役職付きの方に、いろいろ来てくださいっていうのが来て。役をされてる方って基本的に男性なんですよね。個別に地域地域の目立つ女性とかにも、お声掛けしたと市の方々は言ってるんですよ。我が家では、夫が農業関係の役職をしていましたので、彼のところに案内が来て。でもどうしても彼がその日行けないから、代打でちょっと行ってきてよっていうので、行ったんですよ。そしたら見事に皆さん男性だったんですね。多少若い方もいらしたんですけれども、それが未来会議っていうのは、これ未来がないなというふうに思ったんですよね。かといって先ほど関根先生もおっしゃってましたけど、頭数だけ女性をそろえるっていうのは、本当に意味がないんですね。やはり今までの女性って、やっぱり人前で何か意見するっていうのが、なかなかできない。特に男性が多いところで、意見できないという女性が多いと思うんですよ。多かったと言うべきですかね。それで行っても何も言えないで終わっちゃう。嫌な時間という風になると思うんで、声がけの仕方を少し工夫する必要があるんじゃないかなと。女性って身近なことについては割と意見しやすい。例えば集落内のことだったり、本当に小さな地域内のことであったりするには、自分の意見こうなんだよね。ここがこうなればいいと思うんだよねっていうようなことは言いやすいと。そういうところを考えて、そういう特性を少し配慮しながら、大きな大義だとかにつなげていくだとか、そういった姿勢がやっぱり、行政側っていうんでしょうかね、そういったものを主導する側にも、必要なのかな。配慮が必要だなと思いますし、もっと自分たちの身近なことなんだよっていう意識を、女性自身が持てる、持つようにしていかなくちゃいけないのかなっていうのは強く思いましたね。なんかまとまりませんでしたが、ありがとうございます。

◆関根さん

 いえ、ありがとうございます。やはり女性が感じている、自分の生活に寄り添った言葉や表現を、行政や政策に反映できる仕組みが必要なのでしょうね。そういう声を集めて、発信するための工夫も必要だと思います。また、「今が当たり前」と杵塚さんも鴫谷さんも言っていたように、例えば「産休・育休制度という考えが欠落してた」というように、いろいろな情報を照らし合わせて初めて自分たちの地域の実態を客観的に見られることもあります。ですので、そういう情報をつないでいく作業や、女性の声をちゃんと政策担当者―自治体にしても国にしても、政策担当者の多くは男性だと思いますが―が理解できる言葉に紡ぎ直していく、翻訳のようなワンクッションが必要なのかもしれないなと、今伺ってて思いました。

 農業経営を大規模化すると女性の負担が増えるというのも、とても重要な論点だと思います。私はこの数年、北海道等の酪農・畜産を調査してきたのですが、小規模な家族経営で搾乳牛が40頭位―その地域は1経営当たりの搾乳牛が平均100頭以上いるところでした―だと、1日の労働時間が短いので、家族で食卓を囲んで夕飯を一緒に食べられるそうです。親が子どもの成長する姿を見られるし、一緒にお風呂も入れるし、それがすごく幸せだっていうお話を聞いています。やはり国の政策が目指す経営像で、女性が働きやすい環境をもっと考えることは、まだまだ課題として残されていると感じました。ありがとうございます。それでは、小葉松さんいかがでしょうか。

◆小葉松さん

 ありがとうございました。今日全体のお話を通して、本当に農業現場の女性の役割が意外と多いなと思いましたし、またそこに全然スポットが当たっていないなというのも、今日お話全体通して感じました。私自身もいろんな取材とか農業者の方させていただいているんですけども、たしかにそういった農業者の方たちを支えているというか、語弊があるかもしれないですけれども、女性っていうのに私もですね、なかなか目が行っていなかったというか。そこもですね私発信する立場として言語化もしたいなと思いましたし、何か見える化できるような取り組みもしたいなと、今日全体通して思いました。

 あともう一つなんですけど、今日いろんなお話出たんですけど、やっぱりこう意思があるというか、思いがある女性農業者ってやっぱり地方に点在してるなと思っていまして、そういった女性たちがこうやって語り合えたりですとか、つながり合えるような今日みたいな場ですとか、プラットフォームみたいなのがあったら、地方だったら一人かも一人って勇気が出ない発言とか行動も、こういったネット環境を通して通じた仲間がいるから、自分もちょっと地域で発言したり行動してみようかなみたいな、そういう一歩踏み出せるような場になるんじゃないかなと思いまして、こういった場がもっともっとあったらいいなと、今日全体として思いました。短いんですけど以上になります。

◆関根さん

 ありがとうございます。プラットフォームということで、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンとしても、ジェンダー部会がそうした場になれたらなと思っています。まだそこまで活動を広げられていないので、もっと直接、声をたくさん寄せていただけるような形にできればなと思います。またご相談させてください。よろしくお願いいたします。

 本当にそうですね。まだまだいろいろな課題がある中で、政府やJA等のさまざまな主体が、情報発信したり、政策をやったり、現状を変えようとしていますが、それでも根深い問題がすごくたくさんありますね。意識を変えるだけではなく、制度を変える、法律を変えることの重要性を満川さんもおっしゃってました。今日はそうした課題を共有できましたので、とても大事な一歩だったと思います。オンラインの方、何かご質問やコメントはありますか。いかがでしょうか。

 特にまだ来ていないですね。あと5分ほどでシンポジウムをクローズしなければいけないので、もしあればと思いましたが、よろしいでしょうか。

 それでは、最後に司会のまとめをしたいと思います。今日は盛りだくさんの内容で、現状認識から今後どうしていくかというお話も含めて、具体的に情報やご提案もいただきました。今後、こうした点を手がかりにしながら、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンとしても、活動できればと思います。やはり、産休・育休、介護のようなライフイベントに対する制度、所得税法のような法律を改善すること、女性役員の割合を増やすパリテ等が喫緊の課題かと思います。そして、土地のお話が杵塚さんからありました。日本は戦後に農地改革が行われているし、耕作放棄地があるので、農地はむしろ余っていると思われがちです。ですので、海外に比べると土地へのアクセスの問題はないと思われがちですが、新規就農しようと思うと、小葉松さんが最初に言われてたように、実はたいへんアクセスが難しいという実態があります。それから、誰かがリタイアするから農地が空くという情報が、男性のところにばかり集まるということも含めて、非常にいろいろな点が課題として出てきたと思います。そういったなかなか言語化されていない、意識の内側に沈んでいるような言葉をもっと浮上させていくような、本音がポロッと出てくるような、そういう語らいの機会も、今後作っていけたらいいんじゃないかなと思いました。

今日は、皆さん日曜日の、日中の、晴れの、しかも台風が来る前という状況の中ですね、子育てもしながら、時間をいただいたことに本当にお礼を申し上げます。

 最後に、私は大学で農業経済学を教えていて、ジェンダーの話もしています。先ほどのジェンダーギャップ指数の図に出てきたように、日本では教育や健康面の男女格差はとても少なく、学びの場、教育現場での建前平等というのはすごく徹底されています。でも、いざ就職活動になると、歴然と総合職と事務職のような男女格差や就活ハラスメントもあったりします。そういう中でも、ジェンダーやフェミニズムの問題について、授業で語ろうとすると男女問わず学生は下を向いてしまうんですね。こうした問題を語ること自体がすごく恥ずかしいというか、直視できないという状況があるようでう。この問題を真剣に考えようとすると、自分の親子関係や夫婦関係、パートナーとの関係に、踏み込まざるを得ないというか、そこに疑義を差し挟まざるを得ないというところがどうしてもあるので、皆つい目を覆いたい、耳を塞ぎたいと男女ともに思うのだな、と非常に感じています。でもだからこそ、こういう問題をないことにするのではなく、直視して語り合っていくこと、言語化していくことがすごく大事だなと思いました。これからもこうした活動を続けていければ思いますので、ぜひこれをきっかけとして、今後もよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ご登壇いただき、またご参加いただき、本当にありがとうございました。