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金子美登さん・大和田世志人さんを偲ぶ会に参加

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2023年3月30日(木)の午後、昨年逝去された金子美登さん・大和田世志人さんを偲ぶ会が憲政記念館で開催され、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)の久保田常務理事(日本有機農業研究会理事)と市村常務理事(全日本農民組合連合会書記長)、関根常務理事(愛知学院大学教授)、および吉野理事(全国有機農業推進協議会理事)が参加しました。

金子美登さんは、埼玉県小川町で有機農業と産消提携に長年取り組み、地域全体を有機農業の里に育てた方です。国内外から研修生が集まり、国際的にも著名な日本を代表する有機農業の実践者のお一人でした。また、初代の全国有機農業推進協議会の理事長として、有機農業推進法(2006年施行)の実現にご尽力されました。大和田世志人さんは、1970年代に水俣病の公害問題に取り組み、1984年に鹿児島有機生産組合を設立して代表を務めました。全国有機農業推進協議会の2代目の理事長として、みどりの食料システム戦略やその法制化に関して行政や政治への働きかけにご尽力されました。お二人とも生涯現役で、多くの方々から慕われ、数多くの有機農業の実践者や支援者を育てました。

私(関根)が金子美登さんに初めてお会いしたのは、国連の国際家族農業年(2014年)に埼玉県小川町の霜里農場(金子美登さん・友子さんご夫妻の農場)をお訪ねしたときでした。国際的に小規模な家族農業の価値が見直されているというお話をして、拙著『家族農業が世界の未来を拓く』(農文協、2014年)を謹呈したところ、その方向性に大いに賛同してくださいました。その後、2017年に小規模・家族農業ネットワーク・ジャパン(SFFNJ)を有志と設立したときには、賛同者にご夫妻でお名前を連ねてくださいました。2019年に家族農業ネットワーク・ジャパンが設立されたときには、吉野理事(全国有機農業推進協議会理事・FFPJ理事)のご提案で、全国有機農業推進協議会がFFPJの団体会員になってくださいました。

金子さんは生前、全国の有機農業関係者に呼びかけて、中山間地域の静岡県浜松市天竜区春野町の「はるの山の楽校」で「ラブファーマーズ・カンファレンス」[1]という合宿形式のイベントを開催されました。2015~2019年の5年間続いたこのイベントに、私(関根)はゼミの学生たち約15名を連れて毎年参加していました。ふだんは都会のコンビニ食に慣れ親しんでいる学生たちは、有機農業関係者との出会いに大いに刺激を受け、卒業後に就農した学生もいます。2019年には、FFPJの村上代表(自然農園なな色の空)や国連食糧農業機関(FAO)ローマ本部の職員の方(国連「家族農業の10年」担当)もラブファーマーズ・カンファレンスに参加し、キャンプファイヤーを囲みながら夜遅くまでお話されました。物静かながらも、いつもにこやかに私たちの活動を応援してくださったことに改めて感謝するとともに、私たちも金子さんのご遺志を継いでいきたいと思います。

2023年4月1日 作成関根佳恵

[1] ラブファーマーズ・カンファレンスは、2022年から埼玉県小川町で再開されています。