エウリ・ピデス・カラヤ・ナコスさんは、自分の出身地であるギリシャのスパルタにあるトリピと呼ばれる小さな伝統的な村で28年前に養蜂を趣味で始めました。2014年に、他の活動を行いながら養蜂で生計を立てることに決めました。
「私たちの巣箱は、タイゲトゥス山のふもとにあります。 数は60で、毎年約300㎏の蜂蜜が採れます。」「養蜂家であるためには、十分な訓練を受ける必要があります。安全を維持し、ミツバチを安全に保つために知っておくべき特定の事項があります。1つの間違った動き、1つの単純な判断ミスは、あなたの命を危険にさらし、蜂を殺す危険性があります。」と彼は言いました。
養蜂家になるための課題は何ですか？ あなたは実際に養蜂を通して生計を立てることができますか？
「それは蜂の巣の数によります。養蜂だけを収入源とするなら、生計を立てるためには150以上の巣箱を持つ必要があります。しかし、それでも生活を保障できるものではありせん。良くとれる年も悪い年もあるからです。私は主にオリーブオイルの生産者として働いています。私は父とハチの巣箱を所有しており、夏の間は観光客のゲストハウスで働きます。養蜂だけでは得られない収入を得ることで、リスク分散ができます。」
実際に有機蜂蜜を生産することができますか？
「私たちの職業に関する限り、無知が主な問題です。つまり、私たちの製品に対する人々の無知を意味します。私は蜂蜜を1キロあたり10ユーロで売っています。私が大量生産養蜂場（工場が持っているかもしれないもの）から出てくる価格に対抗できないことは事実です。一方、オーガニックの養蜂家は、私よりも蜂蜜の生産量が少ないです。どのようにしてこれらの価格に対抗できますか？しかし、蜂蜜の生産を「有機」として定義することは、見かけほど簡単ではありません。養蜂家が養蜂場[が有機蜂蜜を生産するための]のすべての期待と条件を満たしていたとしても、ミツバチが非有機的な場所に飛ばないようにするにはどうすればよいのでしょうか。ミツバチは最大10km飛ぶことができます。つまり、有機蜂蜜を作るためには、蜂が訪れるすべての環境も有機でなければなりません。」
あなたの蜂蜜と大量生産された蜂蜜の違いは何ですか？
私が生産するすべての種類の蜂蜜が結晶化します（トウヒを除くすべての種類）。これは、この特定の蜂蜜が自然に生産されたことを示すサインです。私は完全に安全で承認された方法を使用して蜂の巣を支えていますが、冬の間は蜂の巣箱を生かしておくために砂糖を使用します。この事実にもかかわらず、私の蜂蜜は常にきちんとした方法で管理されており、薬や砂糖の痕跡はありません。それは、私が最終的な製品の栄養価を損なうことがないほど特定の期間だけに限定してこういった管理をするためです。一方、大量生産工場は蜂蜜を摂氏90度まで加熱する傾向があります。その熱は結晶結合を破壊し、蜂蜜はもはや結晶化しません。その結果、私の蜂蜜に比べて栄養価が低いです。しかし結局のところ、州は小規模農家を支援していません。[工業的蜂蜜の方が]トレーダーやスーパーマーケットにも好まれます。システム全体が変更されない限り、何も変更されません。しかし、この変化が進展する可能性のあることが1つあります。州は蜂蜜の輸入を停止し、当然ながら妥当な価格で販売する小規模生産者をサポートする必要があります。
本当に、ここ数年、ミツバチの数や蜂蜜の生産量に違いがあることに気づきましたか？
その通りです！ 今日では、40年前の生産と比較して、大きな違いがあります。当時、私の父は蜂の巣箱を20個しか持っていませんでしたが、500キロの蜂蜜を得ていました。さらに、蜂の巣箱を脅かす病気はありませんでした。気候変動、ミツバチを殺す農薬、ミツバチの方向を乱す送信アンテナ、およびハチの巣箱で適切に薬を使用しない無責任な養蜂家に関連しており、ミツバチにとって致命的な病気の蔓延を引き起こしています。
どうすれば彼らの未来を確かなものにできるでしょうか？ これは単純な質問ではなく、変数と回答は無数にありますが、いくつか挙げてください。
「私たちは自然に対する態度を変えなければなりません。私たちは環境を守らなければなりません。私たちは生物多様性を受け入れなければなりません。汚染は脅威であり、環境ホルモンや農薬も同様です。そして、これらすべてはミツバチだけでなく、人類に対する脅威でもあります。」
本記事は、国連食糧農業機関（FAO）の家族農業の知のプラットフォーム（FFKP: Family Farming Knowledge Platform）から配信されたニュースレターの抄訳です。FFKPには、世界中から家族農業に関する情報が集められています。
翻訳：家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン（FFPJ）