家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は3月17日(金)、衆議院第二議員会館で院内集会を開き、「食料・農業・農村基本法」の改正に向けた提言および「国連家族農業の10年」の国内行動計画(案)を発表しました。会場とオンラインを合わせて60名の参加があり、国会議員(秘書を含む)7名が会場に足を運んでくださいました。(川島 卓 記)
*文末に動画をアップしました。
村上真平代表は挨拶のなかで「国連家族農業の10年は約5年が過ぎようとしている。生産性偏重のやり方が、地球環境の問題や貧困格差の広がりをもたらし、食べ物の問題もそこに根を発している。SDGsとして農業を考えたときに、一人の人間がたくさん作れることが大切なのか、それとも一つの農地で様々な食べ物や農業に関連するものを色々生産する方が大切なのか。家族農業は手間のかかる農業ではあるものの、具体的なリサーチによって、生産性は大規模な農業よりも2倍も3倍も高いということが明らかになった。心を込めて自然をケアするということは、人間がこの地球上で生きていくのに当たり前、絶対的なことであるが、まだそれに気づかず、儲かれば良いんだみたいな形で社会は動いている。対して私たちはこのささやかな活動を通して、人びととつながり、子供たちの未来を真剣に考える、まともな社会を目指していきたい」と話されました。
続いて、メインの報告を行った池上甲一常務理事(近畿大学名誉教授)は、本題に入る前に村上代表に触発される形で「高島善哉さんという方が近代化とは何かという論文のなかでそれを3つに区分している。一つ目は産業化、工業化といったような技術の近代化、2つ目は第二次大戦後に行われた民主化のような人間関係や組織の合理化、そして3つ目は人間の個人の主体的な自立、主体化と言っている。この3つの近代化という観点から考えていくと、一番目の技術的な近代化が非常に肥大し、その結果として、様々な弊害が出てきている。近代化本来の意味を取り戻すことで違った可能性が見えてくるのではないか」と話されました。
本題の基本法への提言「食料・農業・農村基本法の改正に際して盛り込むべき視点」では、改正への作業が異例なほど急ピッチで行われていることに対して、国民全体の合意を図れるのかが大いに危惧されると前置きし、第5次基本計画までの歴史的経緯を踏まえ、10項目の提言をかかげました(資料)。
発表のあと、ご参加の方がたから、「アグロエコロジー」「ゲノム編集」「下水汚泥」「国際小規模漁業年」「アクアポニックス」などについて、多岐にわたるご質問・ご意見をいただきました。中でも多面的機能や物質循環の維持が重要視される昨今、農林水産省の範疇だけで考えず、国土交通省との連携も必要ではないかとのご意見にうなずかれた方も多かったようでした。
今回の集会を通して、人生を善く生きるのと同様、基本法や行動計画の策定にもまず、根っ子となる哲学をきちんと持つことが大切であると感じました。FFPJでは引き続き、国に対して国内行動計画の策定を働きかけていく意向です。
以下に、集会の集会についてのショートバージョンの動画3本をアップし、最後に全体版の動画をアップしました↓
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