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【報告】オンライン連続講座 ≪国連「小農宣言」「家族農業の10年」に学ぶ ~農と食から新しい社会をつくる~≫ 第3回 「日本農業のこれから」

2020年12月12日(土)、たねと食とひと@フォーラム主催の連続講座「国連『小農宣言』『家族農業の10年』に学ぶ~農と食から新しい社会をつくる~」の第3回講座がオンライン開催され、全国農協青年組織協議会元会長の飯野芳彦さんが「日本農業のこれから」について講演されました。講演の後、同フォーラム共同代表の石津大輔氏(滋賀県・針江のんきぃふぁーむ)と家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン常務理事の関根佳恵氏がコメンテーターとして議論に参加しました。

飯野さん(43歳)は埼玉県川越市で野菜を生産する農家の8代目です。この地域では江戸時代の植林によって造られた平地林があり、農家は今でも毎年落ち葉を集めて堆肥化し、豊かな土壌を維持しています。この伝統的な農法(日本型アグロフォレストリー)は、2017年に日本農業遺産「武蔵野の落ち葉堆肥農法」として登録されています。飯野さんもこの落ち葉堆肥農法を引き継ぎ、家族と雇用労働力で3.5haの農地で、ご自身いわく「中量多品目」の野菜生産をしています。地域の若手農家としての期待(プレッシャー)を感じながら、そして異常気象の影響を毎年受けながらも、農業協同組合の活動を通じて食料の安定供給や地域の活性化、土づくり、伝統文化の継承、景観維持等に取り組んでいます。

質疑応答では、「農家は赤字が続いたら廃業する。」「自分も子どもに世間並みの教育を受けさせたい。それができないなら他の仕事に就く。」という率直なお話が出てきました。厳しい状況の中で農家を支えるためにも、「価格保障、所得保障について議論しなければならない」し、「EUのような環境規制と環境直接支払を日本も強化する必要がある」とおっしゃっていたことが印象的でした。やはり、農業は食料や多面的機能を供給している「公共財」として位置づけて、その支援に対する社会全体の合意形成をはかることが重要だと感じました。

全3回の連続講座は、録画視聴者を含めて120名を超える方にご参加頂きました。本当にありがとうございました。たねと食とひと@フォーラムでは、連続講座の参加者を対象として、2021年1月に第1回講座の講師・池上甲一氏(近畿大学名誉教授、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン常務理事)と同フォーラム共同代表の石津大輔氏(滋賀県・針江のんきぃふぁーむ)によるオンライン座談会を企画しています。また、今後の企画も準備中ということですので、ぜひ同フォーラムのウェブサイト(https://nongmseed.jp/)をご覧ください。