サイトへ戻る

【報告】国連「家族農業の10年」の国内行動計画:アジア地域の食料システムの転換

· ニュース

2021年10月6日(水)から7日(木)の2日間、アジア地域の食料システムの転換に向けて、国連「家族農業の10年」の国内行動計画に関するオンラインの情報交換会が開催されました。参加者は、フィリピン、インドネシア、ラオス、インド、ネパール、タジキスタン、キルギスタン、日本等の家族農業全国委員会(National Committees of Family Farming: NCFFs)や家族農業団体(Family Farmers Organizations: FFOs)等から集まった50名余りでした。日本からは、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)から池上甲一常務理事と関根佳恵常務理事が参加しました。

1日目は全体会合が開催され、世界農村フォーラム、欧州連合、国連食糧農業機関ローマ本部、同アジア地域事務所、アジア農民の会(Asia Farmers Association: AFA)等の代表者のスピーチの後、参加国を代表してキルギスタン、フィリピン、ネパール、インドネシアの家族農業団体の代表者がスピーチをしました。コロナ禍から「よりよく回復する」(Build Back Better)ことを目指して、国連「家族農業の10年」をSDGs達成に結びつけていくこと等が確認されました。

1日目で特に印象的だったのは、EUの代表者が、9月23日、24日に開催された国連の世界食料システムサミットに触れて、「企業志向型のアプローチでは不十分」であり、「これまでのビジネスの延長線上(Business as Usual)に答えはない」と批判した上で、「アグロエコロジーを支持しない人たちもいるが、欧州連合はアグロエコロジーを推進する」と述べたことでした。アグロエコロジーを推進するFFPJとして、とても心強いメッセージとして受け止めました。また、同代表は(持続可能な食料システムでは)「労働者の権利や人権が重視されるべき」とし、「どのような種類の農業を推進するべきか」と問いかけました。さらに、ジェンダー平等を標準化することが家族農業の課題であるとも指摘しました。

2日目は分科会が開催され、2つのグループに分かれて議論が行われました。アジア地域では、すでにフィリピン、インドネシア、ネパールで国内行動計画が策定されています。これらの国は、次のステップや課題、その克服方法について議論しました。これから国内行動計画を策定するために努力している国は、策定に向けたプロセスや課題、その克服方法を話し合いました。日本では、まだ国内行動計画が策定されていませんが、2022年の国連「零細漁業と養殖の国際年」に向けたFAO駐日連絡事務所との連携等を通じて、政府との政策対話の場を持ちたいと報告したところ、他の参加国の代表者らから賛同の声があがりました。最後に、残り8年となった国連「家族農業の10年」ですが、引き続き関係国の団体やFAO、国際農業開発基金(IFAD)、WRF等と連携・連帯していくことを確認しました。

イベント:国連「家族農業の10年」の国内行動計画:アジア地域の食料システムの転換

共催:国連食糧農業機関(FAO)、世界農村フォーラム(WRF)、協賛:欧州連合(EU)

開催日:2021年10月6~7日、言語:英語、会場:オンライン(Zoom)

broken image